ペットを飼う人が増えている昨今、街中では服を着た動物たちの姿を目にすることが多くなりました。
ときには人間顔負けのおしゃれな服に身を包んだペットも見かけますが、その一方で「かわいそう」、「服がストレスになっているのでは?」などといった批判的な声もちらほら聞こえてきます。実際のところ、ペットに服を着せるメリットはあるのでしょうか?
そこで今回は犬と猫を中心に、ペットに服を着せるメリットや注意点などについてご紹介します。
犬や猫に服を着せることについては賛否両論の意見がありますが、結論から言うと「ペットの種類や季節、健康状態によっては服を着せた方が良い場合がある」ということになります。
人間にとって服は体を保護する重要な役割を果たしますが、それはペットについても同じで、具体的には次のようなメリットがあります。
犬や猫は上手に体温を調節できる動物ではないため、季節によってはペット服が健康維持に非常に役立つことがあります。
たとえば、短毛犬種のチワワやパグなどは寒さに弱く冷えやすいのでペット服で防寒対策ができますし、暑さに弱いサモエドやシベリアンハスキーなどの犬種の場合は夏にクールベストを着せて熱中症対策ができます。
怪我を負ったときや手術の後などは、患部を覆うペット服を着せることで皮膚を保護できます。実際に、犬や猫の避妊・去勢手術の後は「術後服」と呼ばれる服を着せることがあり、ペットを赤ちゃんから育てたことがある方はすでにご存知かもしれませんね。
このほか、強い日差しや虫刺されから皮膚を守るタイプのものもあり、ペット服の種類によっては実用的なアイテムになることがわかりますね。
ペット服は抜け毛が辺りに散らばるのを防いでくれる役割も果たします。そのため、ペットを連れて外出する場合はおでかけ先に迷惑がかからないよう、エチケットとして服を着せる飼い主の方もいらっしゃいます。
ペット服の中にはおむつなどのサニタリー用品がズレないようにするものもあり、介護が必要になった場合や外出先でのトイレ対策に役立ちます。
上記のように、ペット服にはペットの健康や身の安全を守る役割もあります。
しかし、もともと動物の体は原産国の環境に合わせて身一つで生きていけるようになっているため、本来服は必要ありません。ですので、原則的には不必要なペット服がストレスとなってしまう可能性も十分考えられるのです。
例えば、次のようなペット服はペットにとって心身の負担になることがあります。
ペットの体を締め付ける小さいサイズのペット服は大きなストレスになります。特に首回りと胸囲のサイズには注意が必要です。どのくらいのサイズのものがよいか分からないという方は販売店のスタッフや獣医師に確認してみましょう。
可愛らしさを演出する小さいリボンやボタンはペット服の見栄えを良くしますが、服から外れてしまうとペットが誤飲してしまう可能性があります。飾りの素材や形によっては飲み込むと内臓を傷つけてしまう恐れがあるため、できる限り飾りがないペット服がおすすめです。
ペットのことを考えるあまり、たくさんのペット服を揃える方がいらっしゃいますが、用途や目的がはっきりしないペット服はストレスになることがあります。体の動きを制限する実用性のない服はなるべく着せない方が良いでしょう。
動物は人間より嗅覚や聴覚が優れていることが多く、犬や猫も例外ではありません。したがって、ペット服のにおいや音には十分に気を付けてあげたいものです。特に鈴の音が苦手な犬や猫は多く、ペット服や首輪に鈴がついている場合はペットが嫌がっていないかどうかしっかり確認する必要があります。
最近ではペットのストレスを考慮した高機能なペット服や、獣医師と共同開発したペット服なども登場していますが、前述の通り、ペットにとって服は必要不可欠なアイテムではありません。そのため、ペットに服を着せる場合は次の点に注意しましょう。
獣医師からの指示などがない限り、服を着せるのは短時間にとどめておきましょう。特にパーティーやイベントの際によく見られる着ぐるみタイプの服や、デザイン性重視のコスチュームのような服は、写真撮影などが終わったら着せっぱなしにせず、すぐに脱がせてあげてください。
術後服や介護服など、ペットの健康上着用させる必要があるにもかかわらずペットが嫌がる場合には、餌やおやつなどを与えながら着せるのも手です。これを何回か繰り返すと「服を着るといいことがある」と覚えて、着用がスムーズになることがあります。
しかし、このような対策をしても強い拒否反応を示すときは、ペット服以外の手段を検討してみましょう。
ペットに服を着せるメリットや注意点などについてご紹介しました。
服は人間の知恵から生まれた人間のためのアイテムであり、基本的に動物には必要ありません。しかし、人間と一緒に生活するペットには時に服が必要になる場面があり、服がストレスになってしまうか否かは飼い主さんの賢明な対応・選択によって変わってきます。
人間側の都合でペットが強いストレスにさらされないよう、今一度ペットに使うアイテムについて考えてみるのも良いかもしれません。