睡眠時間で見る動物の生態! 種ごとの睡眠の違いと理由について

私たち人間にとって「睡眠」は欠かせないものですが、それは動物たちも同じです。睡眠時間は種によって大きく異なり、独特な眠り方をする動物も少なくありません。
そこで今回は、ユニークな睡眠パターンを持つ動物や、動物によって睡眠時間が異なる理由、そしてどの動物がどれくらい眠っているのかについてご紹介します。

特殊な睡眠パターンを持つ動物たち

動物界には私たちの知らないユニークな睡眠パターンを持つものが存在します。
ここでは、いくつかの興味深い眠り方の例をご紹介します。

イルカやクジラ、渡り鳥は「半球睡眠」をする

イルカやクジラは「半球睡眠」と呼ばれる特別な睡眠パターンを持っており、脳の片方が眠っている間、もう片方は活動を続けます。
これは地上での呼吸を確保しながら、水中で外敵に対する警戒を維持するためで、海洋哺乳類にとって生存に欠かせないメカニズムです。
脳の半分が起きている状態なので、片方の目で外部を警戒しながら眠れます。
また、渡り鳥も半球睡眠を行います。
長距離を何日間も休まずに飛び続けるためには完全に眠れないので、片側の目を閉じて脳を休ませながら、もう片側の目で視野を確保しているのです。

魚類は睡眠が浅い

魚類は、人間のように完全に意識を失う深い睡眠がないといわれており、活動量と代謝を下げて休息状態に入る状態を睡眠とみなされています。
ゆっくりとした呼吸になり、水流に身を任せて漂う、または水底近くでじっとしていますが、完全に意識を失っているわけではないため、危険を感じるとすぐに逃げられるのです。

カバは陸地と水中の両方で眠る

カバは水中と陸地で眠りますが、睡眠時間の比率は水中の方が多い傾向にあります。
昼間は主に水深の浅い場所や水草の茂みなど、外敵から身を守りやすい場所を選んで水中で過ごし、眠る際は呼吸をするために鼻だけを水面に出して眠ります。
夕方から夜間にかけては陸に上がり、草を食べながら休息しますが、この時に眠る場合がありますね。

コウモリは逆さまで眠る

コウモリは逆さまにぶら下がって眠ります。
逆さまで眠ることで、地上にいる外敵から見つかりにくくし、すぐに飛び立てる状態を維持しています。
また、コウモリは飛ぶために多くのエネルギーを必要とするため、逆さまから飛ぶ方がエネルギー消費を抑えられるからという理由もあります。
そして逆さまにぶら下がることで体温を一定に保ちやすくなるともいわれています。

ペンギンは立ったままでも眠れる

なんとペンギンは立ったままでも眠れます。
これは極寒の環境で体温を保つための適応で、足元にある羽毛のクッションが地面の冷たさを防ぐため、立ったままで休むと体温を効率的に保てるのですね。
ただ、この場合は熟睡ではなく短時間の睡眠になります。
水中でも短い休息を取ることができますが、こちらも完全な睡眠状態に入るわけではなく、休息のために動きを減少させる程度のものです。
寒冷地に住むペンギンは、体温を保ち、風や寒さから身を守るために「ハドリング」と呼ばれる集団で密集して眠るのが一般的です。

番外編「冬眠」について

冬の間、長期間の睡眠状態に入る「冬眠」を行う動物もいます。
冬眠をする目的はいくつかあり、食糧の少ない冬にエネルギー消費を抑える、活動量が低下している時期に外敵に見つかりにくくする、冬眠によって出産時期を調整するなどが挙げられます。

睡眠時間が長い動物と短い動物

動物の睡眠時間は種によって大きく異なります。
ここでは、特に睡眠時間が長い動物と短い動物、そしてその理由について詳しく見ていきましょう。

睡眠時間が長い動物

まず、長時間睡眠で有名なのは「コアラ」です。
コアラは一日に最大18~22時間もの時間を眠りに費やしますが、これほど長時間の睡眠を必要とする理由は彼らが食べるユーカリの葉にあります。
実はユーカリの葉は毒素を含んでいるため、その解毒に時間がかかるのです。
さらにユーカリは栄養価も低いため、コアラはエネルギーを節約するために多くの時間を睡眠に当てています。

ナマケモノの睡眠時間も長く、一日に15~20時間眠りますが、この理由は代謝が非常に遅く、エネルギー消費を抑えるために睡眠時間も長くなりやすいからだといわれています。
コウモリも一日に約16時間眠りますが、エネルギーの節約と体温調節のために長時間の睡眠を必要とします。
また、意外に思われるかもしれませんが、ライオンも一日に多くの時間を眠ります。
これは狩りで大量のエネルギーを消費するためで、長めの睡眠をとって体力を回復させるのです。

睡眠時間が短い動物

短時間睡眠の代表的なものは「キリン」で、一日に約2~4時間しか眠りません。
20分前後の睡眠を繰り返しますが、これは外敵からの危険を避けるためで、キリンは立ったまま常に警戒をして眠っているのです。
また、高い視点から広範囲を見渡せるため、危険を早期に察知できます。

馬も一日に約2~3時間しか深い睡眠を取りません。
キリン同様に短い昼寝を数回行い、必要な睡眠時間を補っていますが、こちらも外敵からの攻撃を避けるためです。
群れでいる時は、他の仲間と交代をしながら、うつ伏せになって深い眠りを取ります。
野生の象も一日に約2~4時間しか眠らないことが知られていますが、飼育下では長時間眠る傾向にあります。

中間層の動物

年齢や品種によって異なりますが、犬や猫の睡眠時間は一般的には12~16時間ほどです。
比較的、猫の方がより睡眠時間が長い傾向にあり、特に家猫は安全な環境だとリラックスして長時間の睡眠を取ります。
夜行性であるフクロウは、昼間に約8~10時間睡眠を必要とします。

睡眠時間の違いの理由

上記のように代謝や食性、外敵の存在などの環境要因が睡眠時間に影響を与えますが、外敵が多い環境では短い睡眠時間である動物が多いです。
また、草食動物は消化に時間がかかり栄養価の低い草を食べ続けなければならないため、必然的に起きている時間が長くなります。
逆に、高代謝率の動物や栄養価の高い食物を摂取する動物は、比較的短い睡眠で済む傾向にあります。

主な動物別の睡眠時間

動物の睡眠時間は種によって大きく異なることは解説しましたが、以下に主要な動物の平均睡眠時間を一覧にまとめました。

コアラ【一日18~22時間】
ナマケモノ【一日15~20時間】
馬、キリン、象【一日約2~4時間】
カバ【一日約4~6時間】
コウモリ【一日約16~20時間】

ライオン【一日約13~16時間】
犬、猫【一日約12~16時間】
フクロウ【一日約8~10時間】
渡り鳥【一日数分~1時間(飛行中に短い睡眠)】
イルカ、クジラ【一日約8時間(半球睡眠)】

カモノハシ【一日約14時間】
アルマジロ【一日約18~19時間】
ハリネズミ【一日約10~12時間】
ハト【一日約10時間】
カラス【一日約9時間】

ペンギン【一日約10時間】
カメレオン【一日約12時間】
ワニ【一日約17時間】
アマガエル【一日約12時間】
サメ【一日数時間(不規則)】

睡眠時間を頭に入れて観察してみよう

動物たちの睡眠時間とその理由について、新しい驚きや発見はありましたでしょうか。
人間と同じように、動物たちにもそれぞれの生活スタイルや生態に合った睡眠の取り方があるのです。睡眠だけ見ても、動物たちがどれだけ賢くて適応力が高いかが分かりますよね。
もし次に動物園や自然の中で動物たちを見かけたときには、この睡眠習慣についても思い出してみて下さい。特に睡眠時間が長い動物が起きている姿は必見ですよ!

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