寒い時期、人間なら暖房器具や厚着で暖を取ることができますが、野生の生き物はそういう訳にもいきません。どのように寒さに対処しているのか、または、何か秘訣があるのでしょうか?
最も寒さに強い生き物はなんとマイナス120℃まで耐えられるのだそうです。そこまでではないとはいえ、寒い地域に住む生き物たちについても気になります。
「最も寒さに強い生き物」と聞くと何を想像しますか。ホッキョクグマやアザラシなど、極寒の地域で生きる動物を思い浮かべるかもしれません。
ところが意外にもそのような動物ではなく、なんと「カタツムリ」の可能性があるのだそうです。しかもマイナス120℃まで耐えられるという説もあり、あまりの意外性に驚くばかりですね。
とはいえ、この説はまだ確定しているわけではないようです。真偽がわからないため、噂にすぎないと考える人もいるとのことでした。
それでも「もしもマイナス120℃まで耐えられる生き物がいたら」と考えるだけで楽しくなりませんか。これからはカタツムリを見て「こんな見た目で実はすごいのかも…」と思うかもしれません。
厳寒の地域で生きる動物たちはそれぞれの防寒方法を持っています。人間にも真似できるようであれば冬の時期に取り入れたいものですが、どのような方法なのでしょうか。
極寒の場所で生きる秘訣は「体温を逃さないこと」。外気温が寒いばかりか水温まで極寒になる場所で生きる海生哺乳類(セイウチやアザラシなど)は、そのために分厚い脂肪をたくわえています。
脂肪は身体の熱を外に逃しにくい構造になっているため、体感温度を保ちやすいのだそうです。そのため、凍てつくような海中でもセイウチたちはゆうゆうと泳ぐことができるのでしょう。
しかも脂肪は浮力が強い性質も持っています。水の中で素早く動き、獲物を逃さないためにも、あの分厚い脂肪は必要なのですね。
人間も真似しようと思えばできるかもしれませんが、健康を考えると少し遠慮したほうがよさそうです。それぞれの種に合った脂肪量で健康に暮らしましょう。
主に陸上で暮らす生き物の場合、脂肪をたくわえようにも限界があります。そこで厳寒地域で生きる陸上動物は毛皮をまとうことによって防寒するようになりました。
毛皮は体毛の集まりです。その体毛の1本1本の間に空気を抱き込み、熱を逃がさないようにします。人間も衣類の間に空気を入れるとあたたかさが増すという防寒テクニックがあるのですが、それと同じようなものですね。
体毛が長ければ長いほど抱き込める空気の量は多くなります。そのため、同じ種でも生息地域によって体毛は長くなるそうです。
体毛が長い上に厳寒地ならではの工夫をしているのがホッキョクグマです。ホッキョクグマの体毛はストロー状になっており、より多くの空気を抱き込めるようになっています。
さらに、あれだけの美白を誇りながら実は皮膚が黒いのもホッキョクグマの特徴です。太陽光の熱を吸収し、保温に役立てているそうですよ。厳寒地ならではの進化には感心するばかりです。
寒い地域で厳寒を生き抜く動物は多種多様ですが、「寒さに強い動物は身体が大きい」という傾向が見られます。
もちろんすべてではなく、ユキウサギやシマエナガなど小さくてかわいい動物もいますが、前述のホッキョクグマをはじめ、エゾシカやヒグマなど、北方に多く生息する動物は確かに大きい種類が多いかもしれません。
生息地の寒さと身体の大きさが比例する法則は、発見したドイツの生物学者クリスティアン・ベルクマンにちなんで「ベルクマンの法則」と呼ばれています。
ベルクマンの法則とは、簡単に言うと「北へ行くほど動物の身体が(同種で比較すると)大きくなる」というものです。
たとえばクマですが、日本の本州に生息するツキノワグマはオスの平均体長が約1.2~1.4メートルです。対して北海道に生息するヒグマの平均体長は約1.8~2メートル、さらに北に住むホッキョクグマは約2.2~2.5メートルにもなります。
逆にタイやマレー半島などの温帯に生息するマレーグマは約1.1~1.5メートルと小柄になり、「北へ行くほど大きくなる」という法則に真実味が出る結果に。
これは体重に対して体表面積が小さいほど放熱しない(体温を逃がさない)という仕組みが関係しています。身体を大きくすると体重に対する体表面積も大きくなるため、厳寒地に生きる動物たちは必然的に身体が大きくなるということなのですね。
北へ行くほど動物の身体が大きくなるのであれば、人間も南国より北国に住む人のほうが大柄なのでしょうか。
考えてみると日本人よりも北欧の人々の身長は高いイメージがあります。実際に各国平均身長の統計では、北に住む人々が大きいという数値的な結果が出ていました。
各国や各地域の社会経済、食生活、親からの遺伝によって差が出ることも多いため、必ずしもすべての人間がベルクマンの法則にあてはまるわけではありませんが、北国の人を見て単純に「背が高い!」と思ったら、ベルクマンの法則を思い出してみるのもいいかもしれませんね。
寒い地域でも元気に生きる動物たちは多種多様です。人気の動物たちを見てみましょう。
寒い季節に温泉へ入ることもあるニホンザル。赤い顔とお尻が特徴的です。寒さにはとても強いのですが、逆に暑さには弱いのだそう。最近の日本の暑さでは心配になりますが、元気に過ごしてほしいですね。
なお、山口県の秋吉台では遺跡から50万年前のニホンザルの化石が見つかっています。古くから日本に住む歴史的な動物とも言えるでしょう。
トラのなかでも最も大きいアムールトラ。絶滅危惧種でもあり、世界に約500頭しかいないそうです。シベリアのツンドラを駆け抜けながら狩りをする身体は大きくても引き締まり、猫の仲間とは思えないほど。冬毛は約4~5cmにもなり、防寒対策も安心です。
クリスマスに大活躍(?)のトナカイは、地球の最北でも生き抜けるたくましい動物です。防寒のため肌の露出がほとんどなく、鼻先まで体毛で覆われています。
また、トナカイが歩く時には「カチカチ」と独特の足音がします。これは歩くたびに蹄(ひづめ)が鳴るためです。冬の雪や凍った土をかきわけられるほど強い蹄ですが、サンタクロースのそりを引く光景のBGMとして考えるとなんとも神秘的ですね。
老若男女に大人気のペンギン。水族館や海辺をよちよち歩く姿はかわいらしく、思わずうっとりしてしまいます。主に寒冷地に住んでいますが、赤道直下のガラパゴス諸島に住むペンギンもいて、種の進化と対応能力には驚かされますね。
ペンギンは色々な種類が確認されており、性格も様々です。なかでもアデリーペンギン類は攻撃的で勇気もあり、自分よりも大きな動物が相手でも果敢に挑むのだそう。かわいい姿でもやるときはやる、頼りになりそうなペンギンです。
カタツムリがマイナス120℃まで耐えられるという話には諸説あるものの、事実なら素晴らしい発見ですね。
寒冷地に住む動物たちは気候に合わせた進化を遂げ、極寒世界をたくましく生き抜いています。寒い日々が続きますが、私たち人間も寒さに負けず元気に過ごしましょう。