ライオンやトラ、キリンがすぐそばにやってくる……。興奮と好奇心で誰もが思わず「うわーっ!」と声をあげてしまいそうになるサファリパークは、車で敷地内を移動しながら動物たちを近くで見られる動物園の一形態です。
まるで大自然の中で動物たちと遭遇したような迫力満点の感覚を味わえるテーマパークとして1970年代に宮崎県で初めて登場して以来、多くの人々に貴重な動物観察の機会を提供してきました。
しかし、そんなサファリパークでは不幸な事故も何件か発生しています。サファリパークは基本的に小さなお子さん連れでも楽しめる安全なテーマパークですが、見学者の不注意により想定外の事故が起こってしまうことがあるのです。特にマイカーでの見学中の事故は多い傾向に……。
そこで今回は、マイカーでサファリパークを見学する際の注意点についてご紹介します。
「今度の休日はマイカーでサファリパークに行こう!」と考えていらっしゃるご家庭は、この注意点をよく確認してからお出かけしてください。
大きな動物たちが闊歩するサファリパーク。その中を車で移動するのですから、施設運営側はしっかり安全対策を行っています。
しかし、それでも事故が発生しているのが現実。
特に、見学中に車を降りたことで動物から襲われてしまう事故は国内外を問わず発生しており、死亡事故という最悪の結果になることも珍しくありません。
2015年には南アフリカのサファリパークを車で見学していた観光客が、ライオンに襲われて亡くなりました。事故の原因は車の窓を開けていたこと。開いていた窓からライオンが飛び込んで襲いかかったのです。
施設側は車の窓を閉めるよう指導していましたが、守られていませんでした。
2016年には中国・北京のサファリパークでも事故が発生。車で見学中の女性が車を降りたところにトラが襲いかかり、亡くなりました。施設側は絶対に降車しないよう指導していましたが、やはり見学者側の不注意で取り返しのつかない事故が発生してしまったのです。
サファリパークでは動物の扱いに慣れている飼育員でさえ、突然噛みつかれて重傷を負う事故が発生していますから、見学者は適度な緊張感を持ちつつ、施設の規則をしっかり守らなければなりません。直接指導・注意するスタッフが同乗していないマイカーで見学する場合は特に、です。
事故と聞くとサファリパークが危険な場所のように思えますが、規則を順守すれば回避できることがほとんど。
サファリパークは基本的に安全に楽しめるテーマパークであることを前提に、マイカーで見学するときは次の点に注意しましょう。
見学者が巻き込まれる事故のほとんどは、見学中の降車や窓開けによるものです。
窓やドアが開いていれば、自分たちのテリトリーに入ってきた人間に警戒心を抱き、動物が襲いかかるのは当然予想できる展開です。
マイカーは乗り慣れている車なだけに緊張感を保ちづらい面がありますが、そこはしっかり気持ちを持ち直していただきたいところ。
見学中は絶対にドアや窓を開けず、間違っても車から降りないでください。何かあればクラクションを鳴らして施設のスタッフに知らせましょう。
車のドアは必ずロックしましょう。動物が車に近づいた際、偶然ドアを開けてしまうことがあるようです。
海外では実際にライオンがドアを開けてしまった事例があるので、車に乗ったあとは同乗者全員でドアがロックされていることを確認しましょう。
ペットをマイカーに乗せたまま見学はできません。これはペットのにおいや鳴き声でサファリパークの動物たちを刺激しないようにするためです。
安全な見学のためにも、ペットにはおうちでお留守番してもらいましょう。
さまざまな事情によりペットを連れていかなければならない場合は、施設に預けてください。施設によっては預かり所を設けていることがあります。ただし、預かれる動物は制限されているので、利用する際は事前の確認をお忘れなく。
見学中、車に興味津々の動物が急接近してくることがあります。これは絶好の観察チャンスですが、ときには動物が車を引っ掻いたり叩いたりすることも。
そうすると車は大なり小なり傷つくため、マイカー見学する際は新車や高級車を使わないようにしましょう。
万が一、車が傷ついてしまった場合でも施設側は責任を負えません。
動物たちに餌付けできるゾーンでは、施設が用意している餌以外は与えないようにしましょう。動物たちの健康を害する恐れがありますし、いつもとは違ったにおいが刺激となって興奮し始める可能性があるからです。
サファリパークはお弁当やお菓子を持ち込めることが多いですが、これらはあくまで人間用。動物たちがいくらかわいくても、絶対にあげないでくださいね。
サファリパークは観光バスでも見学できます。マイカーを汚したくない方や運転に自信がない方は、こうした観光バスを利用してみてはいかがでしょうか。
観光バスならスタッフも同乗するので安心ですし、動物の生態に関する解説もあるのでサファリパークをより深く堪能できるでしょう。
マイカーで自由に移動できるエリアでは制限速度が設けられているので、見学中は必ず速度を守ってください。また、動物が接近して驚いても急発進しないようにしましょう。急ブレーキもまた然り。こうした動きは動物たちを刺激してしまいます。
異変を察知した場合はクラクションを鳴らしてスタッフを呼んでください。
国内には北から南まで10ヵ所以上のサファリパークがありますが、そのなかでも人気がある関東地方のサファリパークをご紹介します。
那須サファリパークは那須郡の豊かな自然に囲まれたサファリパークで、毎年多くの観光客で賑わっています。
特に希少種であるホワイトライオンは注目の的。白い毛に覆われたその姿は神々しく、アフリカでは「神の使い」といわれるだけのことはあります!
サファリパークといえば、こちらの富士サファリパークを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
日本最大級を誇る大規模サファリパークでもあるので、1日かけて動物たちの世界を堪能したい方にはおすすめです。
自然の中でライオンやトラがゆったり過ごす姿はダイナミックでありながらも、どこか家猫のようなかわいらしさもあります。
1979年開園の群馬サファリパークは、ライオンやトラ、チーター、オオカミ、水牛、サーバルなどの動物観察のほか、敷地内遊園地でのアトラクションも楽しめる総合テーマパークです。
施設の近くには世界遺産に登録された富岡製糸場もあるので、サファリパークの後は世界遺産を見学して国内産業・労働の歴史に思いを馳せるのも良いですね。
なお、群馬サファリパークではホワイトタイガーに餌付けできるアトラクションがあります。目の前の生肉を豪快に食べるホワイトタイガーを見てみたくはありませんか?
マイカーでサファリパークを見学する際の注意点についてご紹介しました。
本来、家畜以外の動物と人間は一定の距離を保って生活するのが望ましいもの。それを人間側の都合で動物たちのテリトリーに入っていくわけですから、配慮しなければならないのは人間です。
「姿を見せてくれてありがとう。なるべく邪魔しないようにするね」。サファリパークではこのような気持ちを持ちつつ、施設の規則を守りながら動物観察を楽しみましょう。
サファリパークでの主人公は人間ではなく、動物たちです。