一昔前はペットといえば犬と猫でしたが、現在は実にさまざまな動物たちがペットとして人と一緒に暮らしています。なかにはイグアナやフクロウなど、日常生活ではあまり見かけない動物がペットにされていることも。
これには賛否両論ありますが、合法的に手に入れた動物を適切に飼育し、怪我や病気に備えてしっかり対策を立てていれば、特段問題はありません。
これを実践するには定期的に動物病院を受診させ、獣医師に相談できる体制を作っておくことが大切です。
そのため、医療にアクセスしやすくなるペット保険はぜひ活用していただきたいところ。
そこで今回は、犬と猫以外のメジャーではないペット、いわゆる「エキゾチックアニマル」のペット保険加入について、種類別のかかりやすい病気と併せてご紹介します。
「病気になったら守れるだろうか」と心配でなかなか希望の子をお迎えできなかった方はぜひ、参考になさってください。
近年、「ペットの定番」である犬と猫以外の動物を飼育する方が増えているのをご存知でしょうか。
具体的にはウサギや、鳥類、ハムスター、爬虫類、ハリネズミ、フェレットなどですが、このような犬と猫以外の愛玩動物のことを「エキゾチックアニマル」と呼び、ペット業界では一つのグループとして分類しています。
このような流れを受け、エキゾチックアニマル専門病院や「エキゾチックペットの診療も可」と謳う動物病院も急増。
これからエキゾチックアニマルのお迎えを検討している方にとってはとっても頼もしいものですが、少し気になるのは治療費のこと。
ペット保険に加入していれば負担は軽くて済みますが、「ペット保険は犬と猫しか加入できないのでは…」と思い悩んでいる方も多いでしょう。
しかし、ここはひとまず安心してください。最近はエキゾチックアニマルを対象とした保険が誕生しています!
エキゾチックアニマル向けペット保険は犬と猫向けペット保険と共通している部分(基本的な補償内容や保険金請求方法など)がありますが、いくつか違いもあります。
エキゾチックアニマル向けペット保険といっても、犬と猫以外のすべての動物が補償の対象になるわけではありません。
補償対象となる動物の種類は各保険会社によって異なりますが、ウサギ、鳥(小鳥全般、オウム、ヨウムなど)、ハムスター、モルモット、デグー、チンチラ、爬虫類(ヘビやカメ、トカゲ、イグアナなど)、ハリネズミ、フェレット、プレーリードッグなどは対象となっていることが多いようです。
詳しくは各保険会社に問い合わせるか、保険会社のホームーページをチェックしてください。
エキゾチックアニマル向け保険のなかには、個体を購入したペットショップ経由からしか申し込みできないものがあります。
このようなペット保険はインターネット検索で保険内容の情報は確認できても、オンラインで申し込めません。
もちろん、個人が直接申し込めるペット保険もあるのでご安心を。
エキゾチックアニマル向けペット保険の保険料は、犬と猫向けペット保険と比べるとお手頃な場合が多く、具体的には月1500円~2000円台が多いようです。
ペット保険に加入する最大のメリットは医療費の負担軽減ですが、これ以外にも保険の種類によっては次のような「あると便利」なサービスが用意されていることもあります。
ペット保険加入者が利用できる特典として、獣医師によるペットの健康相談ホットラインやショッピング店舗での割引、迷子になってしまった場合の捜索サポートなどを利用できるペット保険もあります。
ペットが他人に何らかの損害を与えてしまった際、発生した損害賠償金を補償する賠償特約を付けられる保険もあります。
賠償特約の有無は保険会社や保険の種類によりますが、噛む・引っ掻くといった行動をしがちなエキゾチックアニマルの場合、この特約を付けておくと飼い主さんも少し安心できますね。
ペット保険があれば気兼ねなく動物病院へ連れて行けますし、怪我や病気のときほどメリットと安心感を感じられるものです。
実際、エゾチックアニマルはそれぞれ次のような病気にかかりやすく、診察・治療が重なればそれだけ費用がかかり、保険を活用すべき場面が多くなります。
メスの小鳥(インコやジュウシマツ、文鳥など)に多いのが、卵が体から出てこず、子宮や膣で詰まってしまう「卵詰まり」です。
放置しておくとショック死してしまうことがあるので、産卵できずに長時間苦しそうにしている場合は動物病院で処置してもらう必要があります。
ウサギは歯が伸びすぎて噛み合わせが悪くなる不正咬合(ふせいこうごう)になりやすい動物です。そのままにしておくと伸びた歯で口の中が傷つき、痛みで食欲不振に…。
また、メスの場合は子宮腺がんを発症しやすいのも特徴です。4歳以上の子であれば発症率が一気に上がるので、飼い主さんはぜひ注意していただきたいところ。がんなので、治療が遅れれば死亡率も高くなります。
意外にも、爬虫類は肺炎を発症しやすい動物です。風邪が引き金となることが多いので、寒い季節は飼育環境の温度調節が必須。
食欲がない、口をパクパクさせて苦しそうにしている、といった症状がある場合は早めに動物病院へ連れていきましょう。
ハリネズミは背中に背負った針の見た目ゆえ、肌が強そうに見えますが、実は弱い動物です。
ダニに寄生されてしまうと痒みによる強いストレスで命を落としてしまうことがあります。針の中にフケのようなものがあったり、針がたくさん抜けていたりする場合は早めに薬剤でダニを駆除しなければなりません。
お迎えする子の健康を考えれば、やはりペット保険に加入しておくのが賢明ですが、加入の際にはいくつか注意点があります。
鳥であれば5歳未満、カメであれば15歳未満など、動物の種類によって加入年齢に制限を設けている保険があります。
また、動物の種類にかかわらず新規加入年齢を一律に規定している保険会社もあるので、すでにお迎えしている子の年齢は購入したときの契約書でしっかり確認しましょう。
前の飼い主さんから譲ってもらった場合は、推定年齢を教えてもらってください。保険会社によっては推定年齢の申告で加入可能です。
加入申し込み後、すぐに補償が開始されるわけではありません。
通常、申し込みから補償開始までは数週間かかることが多いため(これを待機期間といいます)、補償開始前の怪我や病気については補償対象外となる点に注意しましょう。保険会社によっては待機期間なしのペット保険もあります。
保険加入前から罹患していた病気や怪我、ワクチンなどの予防処置、避妊・去勢手術、爪切り、ヘアカットなどは補償対象外です。
治療や入院の場合でも補償対象外となる場合があるので、加入前に補償内容をよく読んで確認しましょう。
犬と猫以外のメジャーではない動物、いわゆる「エキゾチックアニマル」のペット保険加入について、種類別のかかりやすい病気と併せてご紹介しました。
珍しい動物だから医療は諦めざるを得ない、というのはもはや過去のこと。
エキゾチックアニマルも診察可能な動物病院が増えた今は、ペット保険を有効に使いながら動物の健康を維持できるチャンスです。
これからエキゾチックアニマルをお迎えする方、また、すでにお迎えしている方も、今一度ペット保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。