私たち人類と長きにわたって共に過ごしてきた歴史を持ち、現在もペットの代表格として人気を二分している犬と猫。
彼らは見た目や性格は異なる動物ですが、実は共通する祖先を持っていることをご存知でしょうか?
そこで今回は、犬と猫の祖先「ミアキス」についてご紹介します。
犬と猫の共通する祖先といわれている「ミアキス」は、約6,500万~4,500万年前に生息していたとされる動物です。
ラテン語で「動物の母」という意味を持つミアキスは主にヨーロッパ大陸などの森に分布し、体長は約30センチ、スリムな胴体に長い尻尾と短い脚が特徴で、イタチに似た姿であったと考えられています。
そして、犬と猫は実は同じ「ネコ目」に分類されており、ミアキスは生物学上ではこのネコ目の祖先に当たります。
ネコ目は「イヌ亜目」と「ネコ亜目」の2つにそれぞれ分かれ、犬は「ネコ目イヌ科イヌ属」、猫は「ネコ目ネコ科ネコ属」に分類されています。
なお、イヌ亜目は犬のほかにはイタチやアライグマ、アザラシやアシカなどが属しています。
このように犬と猫の共通祖先であるミアキスは、身体構造にも双方との共通点が見られ、骨盤の形は犬に近く、猫のように4本足の先端から爪を出し入れすることができたといわれています。
かつて森林の木の上で暮らしていたミアキスは、樹上で爬虫類や鳥の卵などを餌として食べて生活していました。
しかし、次第に森林での生存競争が繰り広げられ、ミアキスの住処が次の二通りに分かれていったことが後に犬・猫といった異なる動物へ進化するきっかけとなりました。
森林から草原へと生活の場を移したミアキスが、その後犬に進化していく祖先となりました。
草原では森林とは異なり隠れる場所も少ないため、身を守れるように筋肉質な体と長く速く走れる脚力が発達しました。さらに、広い草原で狩りをするために群れで協力して獲物を追い詰めるようになったことでチームワークが必要になり、リーダーが出現して主従関係が生まれたといわれています。
そのほかにも、獲物や天敵を威嚇するために大きな声で吠える習性など犬へと進化していく能力が身についた一方で、ミアキスが持っていた猫のように出し入れできる爪は退化していきました。
草原へ移動せず、森林に残って暮らしていたミアキスが後に猫の祖先へと進化していきました。
森に隠れて敵から身を守り、時には獲物を狩るために足の先端から出し入れできる爪はさらに鋭く発達しただけでなく、瞬発力や聴覚、木々を移動するための優れた平衡感覚や小さくてしなやかな体など、猫へと進化していく能力が身についていきました。
また、草原に出て群れで生活するように進化した犬の祖先とは異なり、森林で身を隠しながら単独行動で暮らしていた名残が猫の自由奔放な性格に残っています。
犬と猫の祖先「ミアキス」についてご紹介しました。ペットの人気を二分する犬と猫が実は共通する先祖を持っていることに驚かれた方も多いのではないでしょうか?
人間のパートナーとして長い歴史を持つ犬と、マイペースで自由奔放な猫が持つそれぞれ異なる魅力が、かつてミアキスが暮らしの変化の中で身についた能力であるという進化の過程には驚かされますね。
犬と猫以外にも、普段飼育しているペットや私たちの回りで暮らす動物たちの歴史や進化の過程について調べてみると何か面白い発見があるかもしれませんよ。