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知る・学ぶ 2024-06-27

高い再生能力を持つ動物とは? 驚きの力と仕組み、人間との関係について

「トカゲの尻尾は切れてもまた生えてくる」というのをご存知の方は多いと思いますが、動物の中にはこのような「再生能力」を持つ種が存在しています。
今回は、優れた再生能力を持つ動物と仕組みや能力の違い、人間との関係性をご紹介します。

再生能力の定義は?

再生能力とは、生物が損傷や喪失した体の一部を再び作り出す能力を指します。
再生能力には二つの主要なタイプがあり、一つは「完全再生」と呼ばれるもので、失われた部分を完全に元通りにする能力です。
もう一つは「部分再生」という失われた部分の一部を再生する能力で、私たち人間の皮膚が傷を治す過程が部分再生の例となります。
完全再生の能力を持つ動物は、失った部分の見た目を元通りにするだけでなく、機能的にもほぼ同じ状態に戻せるのです。

高い再生能力を持つ動物の種類は?

では、高い再生能力を持つ動物にはどのような種類がいるのでしょうか?
いくつかの代表的な動物と、その再生能力について詳しく見ていきましょう。

トカゲ

トカゲは、冒頭の例でも挙げているように再生能力の代表格と言える存在です。
尻尾が最初から切り離せるような仕組みになっていて、これは捕食者から逃れるために自ら尻尾を切り離す「自切」が目的です。
切り離された尻尾はしばらくの間動き続け、捕食者の注意を引き、その間に逃げるというわけです。
ただし、再生される新しい尻尾は元の尻尾とは異なる構造になります。
主に軟骨で構成され、骨の構造や色が変わり、一度しか再生されません。

イモリ、ウーパールーパー

トカゲ以上に驚くべき再生能力があるのはイモリやウーパールーパー(メキシコサラマンダー)で、尻尾だけでなく、なんと失われた腕や脚、さらには眼や心臓、その他の内臓まで再生する能力を持っているのです。
しかも、再生された腕や脚などは再生される前と見分けがつかないくらいで、骨まで完璧なものと言われています。
これは、損傷部位の細胞が新たな組織を形成するための「脱分化」という働きができるからで、傷ついた部分に細胞が集まり、それが新しい組織に変わっていき、失った部分が元通りになるというわけです。
そのため、死滅しない限りは無限に再生できるとされています。

シカ

シカの再生能力は、毎年新たに生える角に見られます。
シカの角は毎年脱落しますが、一旦脱落したあと短期間で大きな新しい角が生えてくるのです。
再生能力は骨細胞の活動と新しい血管の形成によって支えられており、シカの健康状態や栄養状態が大きく関係していると言われています。
そのため、元気なシカほど立派な角を再生します。

ヒトデ

ヒトデの再生能力も非常に強力で、失われた腕を再生する能力を持っています。
これはヒトデの体が持つ細胞の高い再編成能力によるもので、中央の円盤部分にある再生細胞が活性化して再生されます。
さらに、切断された腕に少しでも円盤部分の組織が残っている場合は、失われた腕から全身を再生できるため、腕から新しい個体が生まれるケースもあるのです。

プラナリア

プラナリアという小さな扁形動物は、体が分割されてもそれぞれの部分から新しい個体が再生します。
全身に多能性幹細胞を持っているため、新しい組織を形成できるのです。
つまり、いくつに分割されても、分割されたそれぞれが再生して同じ個体になるということです。
ある実験によると、200以上に分割してもほとんどの個体が元に戻り、脳まで再生されたと言われています。
ただし、切断された際に自身の消化液によって死滅してしまうケースがあり、再生しない個体はこれに該当することが多いようです。
また、ナマコやイソギンチャクも同様の能力があるとされています。

ヒドラ

ヒドラは池の水草などに生息している、とても小さくて細長い触手を持つ生物で、あまり馴染みがないかもしれませんね。
ヒドラもプラナリアと同じく幹細胞が豊富であるため、体の一部が切り取られてもそこから新しい個体が再生します。
さらにヒドラの場合は、一定の間隔で再生能力を自ら使用して体の全てを入れ替えていると言われており、不老不死だという説もあります。

ミミズ

ミミズも体が二つに切れた場合、それぞれの部分から新しい個体が成長することがありますが、この能力はミミズの種類や損傷の程度によって異なります。

カニ、エビ

カニやエビも再生能力を持つ動物の一種で、脚や爪、触覚を再生できます。
新しい爪や脚は最初は小さく弱いですが、脱皮を通じて成長し、次第に元の大きさに戻ります。

これらの他にも、頭部のみになっても心臓を含む全てが再生されるウミウシなど、様々な再生能力をもっている動物が存在しています。

動物の再生能力と人間の再生医療の研究

動物が持つ再生能力は、人間の「再生医療」の研究にとても役立っています。
再生医療とは、怪我や病気で傷ついた人間の体の部分を修復して元通りにする技術を指します。
動物たちの再生の仕組みを研究し、人間も同じように再生できる方法を見つけようと試みているのです。

幹細胞の力の研究

再生能力が高い動物の多くには特別な幹細胞があります。
例えば、プラナリアやイモリ、ウーパールーパーは、幹細胞を使って体の失った部分を再生します。
幹細胞は、骨や筋肉など様々な種類の細胞に変化できるため、傷ついた体を修復するのに適しているのです。
再生医療では骨髄移植や皮膚の移植、心臓や肝臓の修復など、幹細胞を使った研究が進められています。

遺伝子の研究

再生能力を持つ動物の遺伝子を調べ、人間にも必要な遺伝子を見つける研究も行われています。
ヒトデやプラナリアの再生に関わる遺伝子を解析することで、人間の細胞が再生するための重要な遺伝子がわかってきており、遺伝子治療や細胞療法への適応が期待されています。

人工的な臓器を作る研究

動物の再生能力の研究は、人工的に臓器を作る技術の開発にも貢献しています。
組織工学という分野では、特別な場所に幹細胞や成長因子を入れて、新しい組織や臓器を作り出す技術が開発されているのです。
これが将来、移植手術に使われることが期待されています。

再生を助ける物質の研究

再生能力を持つ動物からは、幹細胞の他に再生を促進する物質が見つかっています。
例えば、イモリやウーパールーパーの体内には、再生を助けるタンパク質やホルモンがあり、これを人間の治療に使う研究がされているのです。
特に傷に対して人間の皮膚が持つ再生能力を高める治療法が開発されていて、火傷や外傷の治癒を早める手助けとなり得ます。

こうした研究は、動物たちの再生能力を活用し、人間の医療に新しい可能性をもたらしています。
再生医療はまだ発展の途中ですが、動物の再生能力の研究が進めば、より効果的な治療法の発見が期待されています。
動物たちの再生能力を研究することは、未来の医療技術を進歩させるためにとても重要なのです。

動物たちの再生能力を使わせてもらおう

このように、再生能力を持つ動物たちには驚きの仕組みがあることをお伝えしました。
トカゲの尻尾、イモリやウーパールーパーの四肢や内臓、シカの角、ヒトデの腕、プラナリアの全身再生など、それぞれが独自の再生方法を持ち、バラエティに富んでいます。
これらの再生能力は、幹細胞の利用や細胞の変化、遺伝子の働きなど複雑な仕組みによって成り立っており、この研究は、私たち人間の再生医療の分野に大きな力を与えてくれているのです。
これから先、この分野の研究が進むと、さらに多くの発見が生まれるでしょう。
動物たちの再生能力をありがたく参考にさせてもらい、医学の発展に期待したいところですね!

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知る・学ぶ 2024-06-24

目を見れば通じ合える! 愛犬とアイコンタクトで心を通わせてみよう

ペットと目を合わせて気持ちを伝え合うアイコンタクト。成功するとペットに信頼されているようで嬉しくなりませんか?
アイコンタクトはトレーニングが必要ですが、覚えればさまざまなメリットや嬉しさが味わえます。

そこで今回は、アイコンタクトのメリットやトレーニング方法などについてご紹介します。

アイコンタクトとは?

アイコンタクトは飼い主と愛犬が目を合わせ、意思を疎通させてさまざまな指示を与える行動です。愛犬がマスターするまではトレーニングが必要で、「少し大変かも…」と思うかもしれませんが、アイコンタクトができるようになれば犬との絆が深まり、かけがえのない時間が過ごせますよ。

アイコンタクトができる動物は犬だけ!

犬は人の目を見て状況判断や反応をすることができます。世界には数多くの動物がいますが、実は人とアイコンタクトができるのは犬だけなのだそうです。
かといって、どんな人に対してもアイコンタクトをするわけではありません。信頼できる相手、好きな相手が基本であり、そして上手にマスターするためにはトレーニングが必要です。
犬がアイコンタクトをマスターしたら、それは飼い主を信頼していることの証明にもなります。愛犬からの信頼の証と考えると、「一緒にトレーニングしてマスターしてほしい!」と思う人も多いのではないでしょうか。

単に「目を合わせる」だけじゃないアイコンタクト

アイコンタクトは単に目を合わせるだけではありません。犬が飼い主に注目する・意識を向ける重要な行動です。
飼い主に注目している状態なら指示を聞き入れやすくなることが多いため、毎日の行動だけではなく、外出先で考えられる突発的な状況での行動にも役立つでしょう。
もちろん、単純に「愛犬と目が合うと嬉しい」という気持ちを味わえるのも、飼い主にとっては何よりも重要な一面かもしれませんね。

アイコンタクトを覚えさせるメリットは?

愛犬がアイコンタクトを覚えることにより、さまざまなメリットが生まれます。愛犬と飼い主の双方に好影響があるため、ぜひマスターしてみてはいかがでしょうか。

飼い主との絆が深まる

飼い主と犬がお互いに見つめ合うと、オキシトシンというホルモンが分泌されます。オキシトシンは愛情・信頼などの感情に関わる「愛情ホルモン」と呼ばれるもので、双方の絆を深めたいときにはぴったりの効果を持っています。
愛犬が「飼い主と目を合わせると幸せな気持ちになる!」と学べば、アイコンタクトも上手にマスターしてくれるでしょう。

しつけをしやすくなる

アイコンタクトは飼い主に注目している状態でもあります。どんなときでも飼い主に注意を向けているため、指示を聞き入れやすくなっている状態です。しつけについて指示を出してもしっかり耳に入り、理解力が高まるでしょう。
しつけの指示をなかなか聞いてくれないと悩んでいる飼い主さんは、アイコンタクトができているかどうかを改めて確認してみてはいかがでしょうか。

問題行動が減る

散歩中にほかの犬と会って興奮したり、知らない人に望ましくない行動を取ってしまったりしたときなどにもアイコンタクトが効果を発揮します。
目を合わせて飼い主に意識を集中させることにより、興奮対象から目を逸らすことができるでしょう。
ほかにも問題行動をしてしまいそうなときや混乱しているときなどに名前を呼び、目を合わせてあげてみてください。信頼している飼い主の目を見て安心し、穏やかな気持ちを取り戻せるでしょう。

アイコンタクトのトレーニング方法

アイコンタクトはしつけの基本と言われることもあるほど重要視されています。愛犬がマスターできるように、飼い主も少し工夫してあげてみてください。

1:前準備

アイコンタクトのトレーニングを始める前に、愛犬が名前を呼ばれたら反応するかどうかを確認しておきましょう。アイコンタクトをするときには名前を呼ぶことがトリガーになるため、必要な準備です。
おすすめの方法は「嬉しいことがあるときに名前を呼ぶこと」。
例えばご飯をあげるときには「(名前)、ごはんだよ!」、大好きな散歩に行くときには「(名前)、散歩に行くよ!」などのタイミングで呼ぶと、「名前を呼ぶといいことがあるんだ!」と覚えやすくなります。

2:目が合ったら褒めてあげる

アイコンタクトは「目を合わせる」ことが目的です。愛犬の顔を両手で優しく包み、顔を向けさせて名前を呼んでみてください。
このときに目が合ったら思いきり褒めてあげましょう。愛犬が「目が合うと褒めてもらえる!」と学習すればトレーニングの効果が積み重ねられていきます。
目が合わない場合はがっかりしたり叱ったりするのではなく、愛犬の顔をゆっくり優しく上下左右に動かしてみてください。その動きの中で目が合ったら、目が合った瞬間に褒めてあげましょう。
目を合わせるときには必ず「飼い主が下から覗き込まないようにする」という点を意識してみてください。下から覗き込むと犬が上下関係を勘違いし、「この人間は自分より下なんだな」と認識してしまいます。

3:おやつを使って視線を誘導する

なかなか上手にアイコンタクトができないときには、おやつを使って視線を誘導するのもよい方法です。
飼い主が小さなおやつを手に持って立ち、愛犬の視線をおやつに向けさせます。そのあとおやつを持った手を飼い主自身の顔に近づけ、愛犬の視線を飼い主の目に向かせるように誘導しましょう。
そこで目を合わせることができればおやつをあげ、思い切りほめてあげてください。おやつはご褒美にもなるため、愛犬がますます「目を合わせると幸せ!楽しい!」と思えるようになるでしょう。

4:上達してきたらおやつを減らしていく

おやつを使ったトレーニングが上手になってきたら、おやつを使う頻度を減らしていきましょう。ここまでの段階で十分にアイコンタクトができるようになっていればそのタイミングです。
最初に飼い主の指を愛犬の顔の前に出してみせます。犬が視線で指を追うようになったら飼い主の顔まで誘導し、アイコンタクトできるように進めてみてください。
回数を重ねるうち、おやつがなくても上手にアイコンタクトができるようになるでしょう。

【ポイント】はじめは屋内で、慣れたら屋外でも

アイコンタクトのトレーニングは屋内からスタートしましょう。慣れていて刺激が少ない場所で少しずつ経験を積ませ、屋内でしっかりできるようになれば屋外デビューがおすすめです。
屋外は屋内よりも刺激が多いため、最初は上手にアイコンタクトができなかったり、徐々にできなくなってきたりといった状態になるかもしれません。
それは愛犬がトレーニング効果を忘れてしまったのではなく、屋外のさまざまな環境に刺激を受けてしまっているためです。そのような場合には無理をせず、屋内に戻り、ふたたびゆっくりとトレーニングを積んでいきましょう。

アイコンタクトで愛犬との絆を深めよう!

アイコンタクトは愛犬が飼い主の指示を受け入れやすくなり、しつけやトラブル回避に役立つ大切な行動です。また、目を合わせれば幸せホルモンが出るため、愛犬との絆がより深くなるのも嬉しい一面ですね。
トレーニングはうまくいくこともあれば、いかないこともあるでしょう。なかなかうまくいかなくても焦らず、愛犬と一緒に少しずつ成長していきましょう。困ったときにはドッグトレーナーや獣医師さんに相談してみるのもおすすめです。

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知る・学ぶ 2024-06-20

湿気対策はどうしてる? 湿度がペットに与える悪影響と対処法

美しい季節の移り変わりとはいえ、梅雨や夏場の湿気には参ってしまいます。人間でもひと苦労なのですから、ペットはもっと大変なのでは…?と心配になりませんか。
今回は、犬や猫をはじめ、ペットに適した湿度や湿気対策などについて詳しくご紹介します。

湿度が高すぎるとペットに悪影響! 考えられるデメリット

湿度が高い日は人間でも不快感を覚えたり、体調不良になったりしがちです。ペットも同様で、湿度が高すぎる環境では思わぬ悪影響が出てしまうことがあります。

傷んだフードで食中毒になる可能性

湿気の多い時期は細菌が繁殖しやすい環境で、フードが傷みやすくなっています。傷みに気づかずにあげたフードを食べたペットが食中毒になってしまう可能性があるため、フードの管理にはいつも以上に気を配りましょう。
例えば、食べ残したフードは放置せずにすぐに片付け、カビや腐敗を防ぎましょう。特にウエットフードは傷みやすいため、最初から食べきれる分だけを出すか、使い切れない分は冷凍するなどのひと手間を掛けて保存しましょう。

消化器や呼吸器への負担

湿気が高いと消化器に負担がかかり、お腹を壊してしまうことがあります。また、冷えにも注意しましょう。蒸すためあまり寒さは意識しない季節かもしれませんが、梅雨どきは雨で気温が下がることも少なくありません。
夏の湿気は高い気温とともに息苦しさを生じさせることがあり、呼吸器に負担がかかります。人間でも「暑い・湿気が多い」という場所では息苦しさを感じますよね。ペットもそれと同様です。

ノミ・ダニ・カビの発生による皮膚病

湿気が高い時期はノミ・ダニ・カビの発生がほかの季節よりも多くなります。それらが原因でアレルギー性の皮膚疾患やアトピー性皮膚炎などを発症してしまうケースもあり、注意が必要です。
ペットが普段よりも身体を舐めたり噛んだりしている様子や、脱毛している様子などがあれば、早めにかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

外耳炎になってしまうことも

ダニの中には外耳炎を発生させるものもあります。前述の通り、湿気はダニを増殖させる恐れがあるため、梅雨や夏場は普段よりも注意深くペットの様子を観察したほうがよいでしょう。
特に垂れ耳や長毛種のペットは要注意です。犬であればビーグルやゴールデンレトリバー、トイプードルなどは発症リスクが高いため、飼い主も注意してあげてください。

ペットが快適に暮らせる湿度はどれくらい?

ペットが快適に暮らせる湿度はどれくらいなのでしょうか。犬や猫をはじめ、ウサギやハムスター、ヘビなどが暮らしやすい湿度について見ていきましょう。

犬・猫

ノミ・ダニなどの発生を抑えられる湿度を意識しましょう。ノミ・ダニはおおむね60%以上の湿度になると活発に動くようになるため、ボーダーラインを60%にしておくと分かりやすいのではないでしょうか。
かといって、湿度が低すぎる環境もよくありません。脱水症状や皮膚の乾燥をまねく可能性があるためです。
犬の場合は40%~60%、猫の場合は50%~60%を目安に湿度をコントロールしましょう。これらはあくまで目安であり、愛犬や愛猫の年齢や毛のタイプ、体格などによって変わるため、様子を見ながら設定してあげてください。

ウサギ

ウサギは汗による放熱ができないため、飼い主が気をつけてあげなければいけません。快適な湿度は約60%と言われており、70%を超えると体調不良などの悪影響が生じる可能性があります。
このほか、長毛種のウサギは高湿度で毛が絡まりやすくなり、通気性が悪くなる恐れも考えられます。通気性が悪くなるとダニが居着き、皮膚炎になってしまうこともあるため、小まめなブラッシングも心がけましょう。

ハムスター

ハムスターに適した湿度は40%~60%です。湿度が高すぎるとやはりダニが発生しやすくなり、皮膚トラブルが心配されます。
また、ケージ内にカビが発生する恐れもあるため、湿気が多い時期は換気や除湿に気を使い、ケージの状態にも気を配りましょう。特に底や床材はカビが生えやすいため、注意深く観察するよにしましょう。

ヘビ

ヘビは45%~60%ほどの湿度で管理してあげてください。「毛がないんだから皮膚炎の心配はないのでは?」と思うかもしれませんが、空気中の細菌が増殖し、生活環境に影響が出てしまいます。
かといって乾燥しすぎもよくありません。ヘビは呼吸器があまり強くないため、湿度が低すぎると人間と同様に風邪を引いたりすることがあるのです。
湿気が高いときは除湿を、低いときには加湿をするなど、細かいコントロールをしてあげましょう。

快適な空間を作るために効果的な方法は?

快適な空間を作るためには湿度のコントロールが欠かせません。除湿アイテムやエアコンを適切に使用しながら、ペットが生活しやすい環境を作ってあげましょう。

除湿アイテムを活用しよう

室内の湿気をコントロールできるアイテムのひとつとして、除湿剤がおすすめです。スーパーやドラッグストアなどで手軽に買えるため、湿気の多い場所に置いてみてください。
ただ、除湿剤は体内に取り込むと体調への悪影響が心配されるものです。ペットが間違えて食べたり口に入れたりしないよう、飼い主がしっかり管理する必要があります。
除湿剤による事故が心配な人は、凍らせたペットボトルを部屋に置くのもおすすめです。冷やされた空気がペットボトルの表面に付着し、その分湿気が減ります。結露が出るため床濡れなどには注意しましょう。

エアコンの使用も適切に

エアコンに除湿機能があれば活用しましょう。電気代が心配な昨今ですが、無理のない範囲で使ってみてください。
また、エアコンはペットの熱中症防止にも効果的です。可能であれば24時間つけっぱなしにしておくと、ペットが快適に暮らせる空間を維持できるでしょう。
可能であればサーキュレーターや扇風機も併用して、空気を循環させると冷房効率が高くなるため、取り入れてみてはいかがでしょうか。

【注意】部屋を冷やしすぎないで!

エアコンで快適に湿気をコントロールしていると思っていても、室温を低くしすぎるのは要注意です。
部屋が冷えすぎ、「寒い」と感じたペットは、体温低下を防ぐために水分をとらなくなってしまい、脱水症状になる恐れがあるのです。
室温は22℃~25℃を目安にして、寒さを感じないようにコントロールしてみてください。これくらいの室温であればペットも飼い主も快適に感じられるでしょう。
傷みやすいウエットフードには乾燥剤を入れておくのもよい方法です。また、できるだけ冷蔵庫に保管して早めに食べきることを意識するようにしましょう。

湿気コントロールでペットと快適に季節を過ごそう!

梅雨や夏場の湿気には人間も辟易するものですが、自分で室内環境をコントロールできないペットもつらい季節です。湿気が多いと体調不良や病気になってしまうこともあるため、飼い主が適切にコントロールしてあげなければいけません。

ペットに快適な環境の多くは人間にとっても快適であることが多いので、ペットのための工夫のつもりが人間のためになるのも嬉しい一面です。
除湿アイテムやエアコンの除湿機能を上手に使いながら、快適な環境でペットと一緒に蒸し暑い季節を乗り切りましょう。

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知る・学ぶ 2024-05-29

睡眠時間で見る動物の生態! 種ごとの睡眠の違いと理由について

私たち人間にとって「睡眠」は欠かせないものですが、それは動物たちも同じです。睡眠時間は種によって大きく異なり、独特な眠り方をする動物も少なくありません。
そこで今回は、ユニークな睡眠パターンを持つ動物や、動物によって睡眠時間が異なる理由、そしてどの動物がどれくらい眠っているのかについてご紹介します。

特殊な睡眠パターンを持つ動物たち

動物界には私たちの知らないユニークな睡眠パターンを持つものが存在します。
ここでは、いくつかの興味深い眠り方の例をご紹介します。

イルカやクジラ、渡り鳥は「半球睡眠」をする

イルカやクジラは「半球睡眠」と呼ばれる特別な睡眠パターンを持っており、脳の片方が眠っている間、もう片方は活動を続けます。
これは地上での呼吸を確保しながら、水中で外敵に対する警戒を維持するためで、海洋哺乳類にとって生存に欠かせないメカニズムです。
脳の半分が起きている状態なので、片方の目で外部を警戒しながら眠れます。
また、渡り鳥も半球睡眠を行います。
長距離を何日間も休まずに飛び続けるためには完全に眠れないので、片側の目を閉じて脳を休ませながら、もう片側の目で視野を確保しているのです。

魚類は睡眠が浅い

魚類は、人間のように完全に意識を失う深い睡眠がないといわれており、活動量と代謝を下げて休息状態に入る状態を睡眠とみなされています。
ゆっくりとした呼吸になり、水流に身を任せて漂う、または水底近くでじっとしていますが、完全に意識を失っているわけではないため、危険を感じるとすぐに逃げられるのです。

カバは陸地と水中の両方で眠る

カバは水中と陸地で眠りますが、睡眠時間の比率は水中の方が多い傾向にあります。
昼間は主に水深の浅い場所や水草の茂みなど、外敵から身を守りやすい場所を選んで水中で過ごし、眠る際は呼吸をするために鼻だけを水面に出して眠ります。
夕方から夜間にかけては陸に上がり、草を食べながら休息しますが、この時に眠る場合がありますね。

コウモリは逆さまで眠る

コウモリは逆さまにぶら下がって眠ります。
逆さまで眠ることで、地上にいる外敵から見つかりにくくし、すぐに飛び立てる状態を維持しています。
また、コウモリは飛ぶために多くのエネルギーを必要とするため、逆さまから飛ぶ方がエネルギー消費を抑えられるからという理由もあります。
そして逆さまにぶら下がることで体温を一定に保ちやすくなるともいわれています。

ペンギンは立ったままでも眠れる

なんとペンギンは立ったままでも眠れます。
これは極寒の環境で体温を保つための適応で、足元にある羽毛のクッションが地面の冷たさを防ぐため、立ったままで休むと体温を効率的に保てるのですね。
ただ、この場合は熟睡ではなく短時間の睡眠になります。
水中でも短い休息を取ることができますが、こちらも完全な睡眠状態に入るわけではなく、休息のために動きを減少させる程度のものです。
寒冷地に住むペンギンは、体温を保ち、風や寒さから身を守るために「ハドリング」と呼ばれる集団で密集して眠るのが一般的です。

番外編「冬眠」について

冬の間、長期間の睡眠状態に入る「冬眠」を行う動物もいます。
冬眠をする目的はいくつかあり、食糧の少ない冬にエネルギー消費を抑える、活動量が低下している時期に外敵に見つかりにくくする、冬眠によって出産時期を調整するなどが挙げられます。

睡眠時間が長い動物と短い動物

動物の睡眠時間は種によって大きく異なります。
ここでは、特に睡眠時間が長い動物と短い動物、そしてその理由について詳しく見ていきましょう。

睡眠時間が長い動物

まず、長時間睡眠で有名なのは「コアラ」です。
コアラは一日に最大18~22時間もの時間を眠りに費やしますが、これほど長時間の睡眠を必要とする理由は彼らが食べるユーカリの葉にあります。
実はユーカリの葉は毒素を含んでいるため、その解毒に時間がかかるのです。
さらにユーカリは栄養価も低いため、コアラはエネルギーを節約するために多くの時間を睡眠に当てています。

ナマケモノの睡眠時間も長く、一日に15~20時間眠りますが、この理由は代謝が非常に遅く、エネルギー消費を抑えるために睡眠時間も長くなりやすいからだといわれています。
コウモリも一日に約16時間眠りますが、エネルギーの節約と体温調節のために長時間の睡眠を必要とします。
また、意外に思われるかもしれませんが、ライオンも一日に多くの時間を眠ります。
これは狩りで大量のエネルギーを消費するためで、長めの睡眠をとって体力を回復させるのです。

睡眠時間が短い動物

短時間睡眠の代表的なものは「キリン」で、一日に約2~4時間しか眠りません。
20分前後の睡眠を繰り返しますが、これは外敵からの危険を避けるためで、キリンは立ったまま常に警戒をして眠っているのです。
また、高い視点から広範囲を見渡せるため、危険を早期に察知できます。

馬も一日に約2~3時間しか深い睡眠を取りません。
キリン同様に短い昼寝を数回行い、必要な睡眠時間を補っていますが、こちらも外敵からの攻撃を避けるためです。
群れでいる時は、他の仲間と交代をしながら、うつ伏せになって深い眠りを取ります。
野生の象も一日に約2~4時間しか眠らないことが知られていますが、飼育下では長時間眠る傾向にあります。

中間層の動物

年齢や品種によって異なりますが、犬や猫の睡眠時間は一般的には12~16時間ほどです。
比較的、猫の方がより睡眠時間が長い傾向にあり、特に家猫は安全な環境だとリラックスして長時間の睡眠を取ります。
夜行性であるフクロウは、昼間に約8~10時間睡眠を必要とします。

睡眠時間の違いの理由

上記のように代謝や食性、外敵の存在などの環境要因が睡眠時間に影響を与えますが、外敵が多い環境では短い睡眠時間である動物が多いです。
また、草食動物は消化に時間がかかり栄養価の低い草を食べ続けなければならないため、必然的に起きている時間が長くなります。
逆に、高代謝率の動物や栄養価の高い食物を摂取する動物は、比較的短い睡眠で済む傾向にあります。

主な動物別の睡眠時間

動物の睡眠時間は種によって大きく異なることは解説しましたが、以下に主要な動物の平均睡眠時間を一覧にまとめました。

コアラ【一日18~22時間】
ナマケモノ【一日15~20時間】
馬、キリン、象【一日約2~4時間】
カバ【一日約4~6時間】
コウモリ【一日約16~20時間】

ライオン【一日約13~16時間】
犬、猫【一日約12~16時間】
フクロウ【一日約8~10時間】
渡り鳥【一日数分~1時間(飛行中に短い睡眠)】
イルカ、クジラ【一日約8時間(半球睡眠)】

カモノハシ【一日約14時間】
アルマジロ【一日約18~19時間】
ハリネズミ【一日約10~12時間】
ハト【一日約10時間】
カラス【一日約9時間】

ペンギン【一日約10時間】
カメレオン【一日約12時間】
ワニ【一日約17時間】
アマガエル【一日約12時間】
サメ【一日数時間(不規則)】

睡眠時間を頭に入れて観察してみよう

動物たちの睡眠時間とその理由について、新しい驚きや発見はありましたでしょうか。
人間と同じように、動物たちにもそれぞれの生活スタイルや生態に合った睡眠の取り方があるのです。睡眠だけ見ても、動物たちがどれだけ賢くて適応力が高いかが分かりますよね。
もし次に動物園や自然の中で動物たちを見かけたときには、この睡眠習慣についても思い出してみて下さい。特に睡眠時間が長い動物が起きている姿は必見ですよ!

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知る・学ぶ 2024-05-27

噛み癖は直せるの? 愛犬が手を噛んでくる理由と改善法

飼い主さんの中には、愛犬の噛み癖に悩んでいる人がいるかもしれません。子犬でも成犬でも、噛み癖はなるべく早く直さなければ後になってトラブルを起こす恐れもあります。
噛み癖が起こる原因は複数考えられるため、愛犬の事情に合わせた対応が必要です。愛犬に寄り添いながら適切なトレーニングをして改善を目指しましょう。

今回は、愛犬の噛み癖を直す必要性や、噛み癖の原因、改善方法などについて詳しくご紹介します。

犬の噛み癖の理由は? 本能と環境に左右される!

犬の噛み癖に悩んでいる飼い主さんは、その原因に心当たりがあるでしょうか。まずは愛犬が噛んでしまう原因を知り、改善について考えていきましょう。犬が噛み癖をつけてしまう代表的な5つの原因をご紹介します。

口の中がかゆい

もしも噛み癖のある犬がまだ子犬なら、歯の生え変わりが原因で「口の中に違和感がある!かゆい!」と感じ、解消しようとして噛んでいるのかもしれません。
犬の歯は、一般的に生後約4~6か月の頃にかけて生え変わります。この時期に噛むようになったら、歯が健康的に生え変わってきているかどうかをチェックしてあげてみてください。

遊んでいるつもり

飼い主にとっては深刻な噛み癖でも、愛犬は遊んでいるつもりの場合があります。
子犬時代に飼い主が「なんだ、遊んでいるだけなのか」と譲歩して噛み癖をそのままにしてしまうと、成犬に成長して力が強くなっても続けてしまいかねません。
遊ぶ姿はかわいいものですが、愛犬の将来を考えて、早めに対処することを考えましょう。

本能的な行動

犬は本能的に噛んでしまうこともあります。たとえば愛犬が寝ているときや遊んでいるとき、かわいいからといって、愛犬が予期しないタイミングで撫でたら噛まれた経験はありませんか。
急に触られた犬は「攻撃された!」と思い込み、身を守るために噛んでしまう可能性があります。
本能による行動はコントロールが難しいため、専門家のトレーニングを受けることの検討したり、周囲が注意して生活するなどの配慮が必要になるでしょう。

ストレス

犬にとって苦手なことをされたり、怖い思いをしたりなど、ストレスがかかったときにも噛む場合があります。嫌なシーンから逃げたいと考え、噛んでしまうということです。
たとえば爪切りや入浴のタイミングで噛むことがあれば、それは愛犬が苦手なシーンなのでしょう。また、運動不足や体調不良、環境変化などでストレスを感じるケースもあります。

飼い主の気を引こうとしている

飼い主に構ってほしい、甘えたいという気持ちから、「こちらを見てよ!」という意味で噛むこともあります。
なんともかわいい行動に思えますが、成犬になって力加減を間違えると大怪我をさせてしまう可能性もあるため、子犬の頃から「構ってほしくても噛んではいけない」と教えてあげてください。

噛み癖を放置しているとどうなる? 考えられるケースとは

噛み癖の放置は愛犬自身、飼い主、周囲の人など広い範囲に悪影響を与えてしまいかねません。もしも噛み癖を改善しないままにしておいた場合、どのようなことが起こりやすいのか考えてみましょう。

飼い主や他人に傷を負わせてしまう可能性

「噛んではいけない」と知らないまま成長してしまうと、自分の要求を通したいときやストレスから逃れたいときなどに「噛むこと」そのものを伝達手段としてしまうようになります。
子犬の頃は噛んでもそれほど力が強くなく、「甘噛みするなんてかわいいな」と思える程度かもしれませんが、成犬になればそれでは済みません。噛んだ相手に大怪我をさせてしまう可能性もあります。
たとえそれが害意を持った行動ではなくても、人を噛んだ犬は「咬傷事故を起こした犬」として扱われることになります。
他人が被害者であれば治療費や賠償も発生するため、誰にとっても後味の悪い結果になってしまうでしょう。

物を破損する可能性

室内飼いの場合、家具や衣類などを噛んで破損してしまう恐れがあります。インテリアが損ねられるだけではなく、破損したものの誤飲なども心配しなくてはいけません。
飼い主や家族の住環境が悪化するとともに、被害の度合いによっては金銭面でも悩みが出てしまうでしょう。
自宅ならまだしも、よその家や持ち物を噛んで破損してしまった場合、弁償する必要が生じたり、今後のお付き合いに悪影響が出たりすることもあります。

ブラッシングや入浴などが難しくなる

ブラッシングや入浴、爪切りなどのタイミングで噛む場合、力の強い成犬になっても噛み癖が直らなければ、飼い主の手に負えなくなります。
ブラッシングや入浴のたびに噛まれることは飼い主にとっても苦痛になり、きちんとしたお手入れをしてあげられなくなるかもしれません。
外部の力を借りてお手入れをするとしても、トリミングサロンによっては噛み癖のある犬を受け入れないこともあるため、やはり噛み癖の対策は必須になるでしょう。

噛み癖の対策は? 原因を探って適切な対応を

噛み癖を改善するためには、噛む原因を突き止めて対応していく必要があります。具体的にはどのようなことをするとよいのでしょうか。

噛まれたら「痛い」と表現する

愛犬に噛まれたときには黙ってやり過ごすのではなく、「痛い」と表現して「やってはいけないこと」だと教えましょう。
その際、大声で叱りつけるのではなく、「痛い」という事実を伝えてその場を立ち去るなどの方法がおすすめです。
「飼い主を噛んだら痛がり、そのせいで自分のそばからいなくなってしまう」と愛犬に学習させることにより、噛み癖の改善を目指します。
このとき、大声で注意したり、大げさに痛がったりすることはおすすめできません。「遊んでいるのかな」「楽しそう」と愛犬が勘違いして、効果が薄れてしまう可能性があります。

噛むおもちゃをあげて欲求を発散させる

もともと犬は噛む動物です。噛んで遊べるおもちゃをあげて、「噛みたい!」という欲求を満たしてあげましょう。
ただし、飼い主が手に持って遊ぶおもちゃは「おもちゃを噛んでよい=手も噛んでよい」と誤った学習をしてしまう恐れがあります。噛み癖がある場合、犬自身だけで遊べるおもちゃが適しているでしょう。

力関係を明確にする

飼い主よりも自分のほうが優位だと勘違いした犬は、飼い主の言うことを聞かないばかりか、攻撃的な性格になってしまうことがあります。噛み癖を直すためのしつけも受け入れなくなるでしょう。
飼い主のほうが優位であるということを教え、噛んではいけない存在であることや、噛み癖を直すためのしつけを受け入れなくてはならないと学習させることが大切です。

愛犬に寄り添いながら噛み癖を改善しよう

噛み癖の原因や直し方にはさまざまで、この記事でご紹介したもの以外にも多くの種類があります。愛犬の噛み癖に困っている飼い主さんは、愛犬がなぜ噛んでしまうのかを突き止め、適切な方法で改善していきましょう。

自分の力ではどうにもならない、適切なしつけ方に自信がないという場合には、ドッグトレーナーさんに相談してみるのも有効な選択肢です。
社会の中で一緒に楽しく暮らしていくためにも、愛犬の噛み癖を直せるように、愛犬に寄り添いながら諦めずに頑張りましょう。

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