つぶらな瞳と可愛らしい動きで人々の心を魅了し、いま大ブームとなっている「コツメカワウソ」。
見た目の愛らしさにペットとして飼育したいと考える方も多いようですが、購入方法や飼育にはいくつか注意が必要な点もあります。
そこで、今回はコツメカワウソの生態や、飼うときの注意点などについてご紹介します。
コツメカワウソは主に東南アジアに生息するネコ目イタチ科に属する動物で、カワウソの中で最も身体が小さいことで知られています。
野生のコツメカワウソは河川や沼地、湖や水田、沿岸部周辺など水と近い場所に生息しており、日中に活発に動く昼行性の動物です。
主食は甲殻類や魚類、爬虫類や昆虫のほかに、歯が丈夫なことから貝類も平気で噛み砕いて食べてしまいます。また、季節によっては蛇や小動物などを獲物にすることもあります。
「コツメカワウソ」という名前は足の爪が小さい特徴が由来となっており、水中での生活にも適応していることから体は細長く、水が入ってこないように耳や鼻の穴を閉じることができます。
さらに、体長の3分の1を占める長い尾は泳ぐときのパワーの源になっており、水中ですばしっこく泳ぎ回ったり、バランスをとるのに役立ちます。
コツメカワウソは、通称ワシントン条約と呼ばれる「CITES(サイテス):絶滅のおそれのある野生動植物の種類」に含まれ、輸入が規制されている動物です。
近年、日本国内でもコツメカワウソの密輸が問題となっており、2019年8月27日にはワシントン条約の「附属書1(CITES1)」に掲載されることが決定しました。「附属書1」に掲載された動物は絶滅の恐れがあると見なされ、商業目的の国際取引が禁止になります。
そのため、日本国内でコツメカワウソを販売する場合は、個体ごとにルールに沿ってきちんと登録しなければなりません。また、登録されていない個体の売買は犯罪になります。
しかし、「附属書1」に掲載されているからといって決して購入・飼育が出来ないわけではありません。正規ルートできちんと登録されている個体であれば購入・飼育は可能です。
ただし、販売店舗などは非常に限られており、値段も高額になります。一般的なペットショップでの購入は難しいと思われますので、エキゾチックアニマルの専門店などに相談してみましょう。
コツメカワウソはとても活動的で元気な動物なので、飼育するには運動をさせてあげるスペースの用意が必要です。
さらに、水辺での生活を好む動物なので毎日の水浴びは必須です。いつでも水浴びできるよう簡易プールを設けたり、お風呂に水を張っておく必要があります。
コツメカワウソの主な食事としては、手に入りやすい市販のキャットフードやフェレットフードを与え、ほかには魚介類や甲殻類などを副食として与えましょう。
また、コツメカワウソは群れで生活する習性があるので、十分なコミュニケーションをとれるよう飼い主が毎日時間をかけて接してあげないとストレスが溜まってしまいます。
コツメカワウソは頭がよく、綺麗好きでもあるため、ある程度慣れてくるとトイレの場所も覚えてくれます。しかし、犬や猫と違い基本的には人間と共存するのに適した動物ではありません。
人懐っこく愛嬌もありますが、その一方で野性味もあり、力が強いため慣れた人であっても噛みつき、大怪我をすることもあります。また、犬のようにしつけをしっかり行なうことも難しい動物です。
さらに、コツメカワウソの平均寿命は10年から15年程度といわれていますので、飼育を希望する場合は最後まできちんと面倒が見られるかをしっかり考えてから決めるようにしましょう。
コツメカワウソの生態や飼うときの注意点などについてご紹介しました。
コツメカワウソはペットとして購入・飼育することは可能ですが、一般的な犬や猫のようにペットに向いている動物ではありません。家族へ迎え入れる際は、その点もきちんと理解しましょう。
それでも飼いたいという方は、最後までしっかりと面倒を見る覚悟を持って、まずは専門店へ相談してみてくださいね。