黄色いリボンは何のサイン? 犬を守る「イエロードッグプロジェクト」

黄色いリボンをつけてお散歩している犬を見かけたことはありませんか? もしかすると「イエロードッグプロジェクト」に関わる犬かもしれません。
その場合は周囲の人の配慮が必要になる可能性もありますが、聞き慣れない人が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、イエロードッグプロジェクトについて詳しく解説します。

犬を守るイエロードッグプロジェクト

イエロードッグプロジェクトは、一部の犬を守るために立ち上げられたプロジェクトです。より多くの犬が安心して外出や散歩ができるよう、その概要や歴史について知っておきましょう。

イエロードッグプロジェクトとは?

散歩中の犬のリードに黄色いリボンがついていたら、それは「近づかないでほしい」「そっとしておいてほしい」という意思表示です。これは飼い主のわがままではなく、なんらかの事情を抱える犬をストレスや衝撃から遠ざけるためにつけられています。
ただ、近づかないでほしい理由は決してその犬が攻撃的だからではありません。むしろどちらかといえば、近づくと怖がったり、ストレスを感じたりしてしまう状態の犬がイエロードッグプロジェクトに参加しています。
リードに黄色いリボンをつけた犬を見かけたら、声をかけたい気持ちをぐっとこらえ、少し離れた場所から静かに見守ってあげましょう。愛犬との散歩中にすれ違ったときには、愛犬も同じように見守ってあげられるように導いてあげてください。

イエロードッグプロジェクトの歴史

イエロードッグプロジェクトは2010年代にスウェーデンで始まりました。オーストラリアでほかの犬や人に対して強すぎる興味を示したり、ストレスを感じたりする犬に目印をつけていることを知ったスウェーデンの学者が提唱したことがきっかけです。
この活動には早い段階から賛同者が集まり、犬を愛する人々の間で積極的に取り入れられるようになりました。最近は日本でも認知度が高まり、取材メディアや口コミなどを通して、一般の人の間でも知られるようになりつつあります。
リードについた黄色いリボンは「事情があるため距離を取ってほしい」という意思表示です。見かけた時にはぜひ意識してあげてください。

こんなアイテムを身につけている犬には配慮を

配慮が必要な犬のリードにつけられているのは黄色いリボンだけではありません。最近は大きめのタグやワッペン、サコッシュなども見かけるようになりました。
タグやワッペンにはメッセージが記載されていることも少なくありません。たとえば分かりやすく「近づかないでください」と書いてあるものや、「治療中です」「トレーニング中です」などの事情説明がされていることもあります。
いずれにせよベースには黄色が使われているため、イエロードッグプロジェクトに参加している犬(イエロードッグ)であることは分かりやすくなっています。リボン以外でも認識できるグッズがついている場合には、イエロードッグが飼い主さんと安心して散歩できるよう、そっと見守ってあげましょう。

なぜ黄色いリボンをしているの? イエロードッグの特徴

黄色いリボンをしているイエロードッグはそれぞれ個々の事情を抱えています。いくつか代表的な事情をご紹介します。
また、このほかにもなんらかの事情で黄色いリボンをつけているイエロードッグもいるかもしれません。見かけた時には「何かあるんだな」と考えることが一番の助けになるでしょう。

健康上に問題を抱えている、治療中である

身体に健康上の問題があったり、手術をしたあとだったりした場合(回復期の場合)、ほかの犬や人に近づいてほしくないときがあります。接近に興奮して激しい動きをすると、体調悪化や手術後の傷口に悪影響が出てしまう可能性が考えられるためです。
仲良しの犬とすれ違っても、イエロードッグのマークをつけているときには遊びを遠慮して、改めて元気に遊べる機会を待ちましょう。その配慮に、飼い主さんもきっと喜んでくれるでしょう。

社会復帰のトレーニング中

なんらかの事情で社会になじむトレーニングが不十分なまま大きくなった犬は、改めてトレーニングが必要になることがあります。また、残念ながら虐待が理由で社会から遠ざかりたがる犬もいます。
そのような犬も社会で快適に暮らせるようにするためには、社会復帰のトレーニングが重要です。トレーニング中はほかの犬や人とうまく関わることが難しいため、イエロードッグは黄色いリボンをつけて外出します。
社会復帰のトレーニング目的で黄色いリボンをつけているイエロードッグは、ほかの犬や人が親しみの気持ちから気軽に近づくと、適切な行動ができない可能性が否定できません。
トラブルの原因になり、どちらも哀しい思いをしてしまうことがあります。社会復帰のトレーニングをしているイエロードッグを見かけたら、心の中で「がんばれ!」と応援してあげてください。

ほかの犬や人間が怖い、過剰反応してしまう

犬の性格はそれぞれで、なかにはほかの犬や人に好奇心を持つあまり、過剰な反応をしてしまう犬もいます。
飛びついたり吠えかかったりなどの行動はトラブルの元になるため、ほかの犬や人から遠ざけておきたいと考える飼い主さんもいるでしょう。そのような場合にもイエロードッグとして黄色いリボンをつけることがあります。
また、その反対のケースもあるでしょう。性格や過去のトラウマから、ほかの犬や人を過剰に怖がる犬もいます。パニックの原因になってしまうため、やはり遠ざけておきたい、そっとしておいてほしいと願う犬や飼い主さんもいることもあると覚えておきましょう。

介助犬のトレーニング中

イエロードッグの中には、介助犬になるためのトレーニングをしている犬もいます。盲導犬、聴導犬をはじめ、セラピードッグなど、訓練を積んだ犬の仕事振りを見て頼もしいと感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
トレーニング中、好意でも声をかけたり飼い犬が交流したがったりすると、イエロードッグの気が散り、訓練の効果が薄れてしまうことがあります。立派な介助犬になれるよう、交流したい気持ちを我慢して、心の中で応援してあげましょう。

愛犬がイエロードッグでは?と感じたら慎重な対応を

イエロードッグの特徴を知り、「もしかすると自分の飼い犬もイエロードッグかも…」という疑問を持つ人もいるかもしれません。確かに、周囲の配慮が必要な行動をする犬がいることも確かです。
しかし、必ずしもイエロードッグであるとは限りません。むしろあらためてしつけをしたり、外部との関わり方を変えてみたりするだけで、今までとは違う前向きな行動になる可能性もあります。

すぐにイエロードッグだと判断する前に、獣医さんやイエロードッグの活動をしている団体などに相談してみることをおすすめします。

少しの配慮でイエロードッグが安心できる環境を!

イエロードッグはさまざまな事情を持った犬たちです。そんな犬たちを支援するイエロードッグプロジェクトは、わたしたちの少しの配慮と協力で大きな効果を発揮することにつながるかもしれません。
犬は社会で人と幸せに暮らせる性質を持った動物です。黄色のリボンをつけた犬を見つけたら、その犬が幸せに暮らせるよう、少しだけ配慮してあげてください。

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