事件解決で活躍する警察犬。真面目に仕事を果たそうとする姿に「かっこいい!」と思う人も多いでしょう。飼っている犬を警察犬にしたいと考えるかもしれません。
ひとくちに警察犬といっても、どんな仕事を任されているのでしょうか。また、どのような方法で警察犬になるのでしょう。
今回は、警察犬について詳しく解説します。
私たちが警察犬を見かけるのは、おもに事件のニュース報道ではないでしょうか。あまり身近ではないため、「事件があるときだけ仕事をするのかな?」と考える人のほうが多いかもしれません。
でも、警察犬は事件があってもなくても毎日しっかりと仕事をしています。
犬の五感は人間の何倍も敏感です。優れた嗅覚を活かして捜査に貢献します。事件では地面のにおいを察知し、犯人や行方不明になっている人を追跡する仕事を担当。映画やドラマでもよく見かける光景ですね。
普段は可愛らしい犬でも、仕事になればビシリと威厳ある姿になります。相棒の警官と一緒にパトロールへ出て、地域の治安維持に努めることもあるそうです。
見かけたらつい声をかけたくなってしまうかもしれませんが、お仕事中は集中を欠かないよう、できるだけそっとしておいてあげましょう。
警視庁と千葉県警の警察犬に限りますが、テロリストの警戒業務を担当しています。要人の警護や重要な施設警備をおこなうだけではなく、爆発物の発見なども任されるのだそうです。また、災害時には災害現場で被災者の救助に奔走することも。
都内の皇居や皇族のみなさんがお住まいになる住居を警備します。皇族のみなさんからねぎらいの言葉をかけられることもあるそうですよ。
警察犬になるためにはさまざまなトレーニングが必要です。厳しいトレーニングを乗り越えた犬だけが優秀な警察犬として任命されます。
日本では警察犬になれる犬種が指定されています。基本的にはシェパード、ドーベルマン、ラブラドールリトリーバー、ゴールデンリトリーバー、ボクサー、エアデールテリア、コリーです。どの犬種も堂々とした体格で、いかにも警察犬といった雰囲気が似合いそうですね。
しかし、こちらは警察が直接育成する「直轄警察犬」です。民間で訓練された「嘱託警察犬」の場合はその限りではありません。実際にチワワやトイプードルのような小型犬も警察犬として活躍している実績があります。
警察犬になるため、候補の犬たちは厳しい訓練を受け、最終的に試験にのぞみます。
トレーニングでまず重視されるのは基本的なしつけや素質です。人間との主従関係を理解しているか、集中力はあるのかなどが見られます。数ヶ月の訓練で適性があるかどうかを判断し、適性があれば次の段階へ進むというスケジュールです。
適性を見出された犬は、いよいよ本格的な訓練を受けることになります。現場で警察官の指示に服従するため、「待て」「伏せ」「座れ」といった動作命令からスタートです。
動作命令を身につけたあとは、すぐれた嗅覚を活かすための「臭気選別訓練」や、犯人や行方不明の人の足跡を追う「足跡追求訓練」などが始まります。
また、犬によって個性や適性があるため、一頭一頭に合わせた応用訓練もあるのだそうです。その犬ならではの能力が伸ばされることもあるかもしれませんね。
厳しい訓練を終えた犬は検定試験に進みます。検定試験に合格すれば晴れて警察犬デビューへ。頼もしく、勇ましい姿を見せてくれるようになりますよ。
警察犬は一定の年齢になれば引退します。一般的には約10年勤務するそうです。
引退した警察犬は穏やかな余生を過ごせます。訓練中や活躍中に指導した人が引き取ったり、ときには里親に引き取られたりなど、安心して暮らせる環境が用意されるため安心です。
また、直轄警察犬の場合、トレーニングを受けた施設のなかで余生を過ごすこともいるそうです。長年暮らした勝手知ったる場所でのんびりと暮らすのもすてきですね。
いままで人間社会のために尽くしてくれたのですから、やさしい家族に愛されて暮らしたり、気ままに過ごせる環境でゆっくりしたりなど、充実した余生を楽しんでほしいものです。
立派なはたらきで社会を守る警察犬は、厳しいトレーニングと検定試験を乗り越えた、いわばエリート犬ばかりです。社会の治安を守ってくれる姿は思わず賞賛したくなることも。
わたしたちの社会を支える警察犬のはたらきに感謝しながら、見かけたときには心のなかで「がんばれ!いつもありがとう!」と声をかけたいものですね。