温暖な気候のなか、自然に恵まれた熱帯雨林。私たちが普段生活する場所では見られないような多種類の動植物が生きています。
今回は、熱帯雨林で生命力いっぱいに暮らす動物たちをご紹介します。
東南アジアやアフリカ、中南米にある熱帯雨林には、じつに多くの動物や植物が生息しています。熱帯雨林そのものは地表の数%にすぎない広さなのですが、地球に住む50%以上の種が住んでいると言われるほどです。
なぜ熱帯雨林はそれほどまでの生命多様性を持っているのでしょうか。
熱帯雨林がある熱帯地方は、ほかの地方と比べると日照時間が長く、降水量が多い特徴です。そのため良質な土壌が形成され、植物が繁殖し、それをエサとする動物たちもまた順調に繁殖していきます。
過去、地球は何度も氷河期に襲われています。凍結によって失われた種は決して少なくありません。しかし、熱帯雨林は氷河期でも凍結せず、種の多様性を守りながら安定した環境を保っていたと考えられています。
年間を通して高温多湿であり、あまり大きな気候変動がない熱帯雨林は、多くの動植物が生きやすい環境です。いわば環境収容力(その環境で生きられる生物の最大数)が大きく、多種多様な生命が存続しやすいそうです。
世界各地の熱帯雨林には、私たちの生活ではあまりお目にかかれない動物がたくさん住んでいます。カラフルだったりキュートだったり、ときにはコワモテだったり…。熱帯雨林に住む動物の一部をご紹介します。
鮮やかなブルーが印象的なスミレコンゴウインコ。アマゾンに棲息しています。熱帯雨林によく似合うビビッドなカラーリングで、どこか高貴な印象も感じられる鳥です。
インコというと小柄で愛くるしいサイズの鳥を思い出しがちですが、スミレコンゴウインコは身長約1メートル、重さは約1.2~1.7kgと、なかなかのビッグサイズです。
広げた片翼は40cmにもなるそうですよ。熱帯雨林の空を飛ぶ姿はきっと堂々たるものなのでしょう。
最近は動物園でも人気のカピバラ。アマゾン川の流域がおもな生息地です。ずんぐりむっくりしたルックスや、水辺でのんびりと過ごす姿に魅了されたファンも多いのではないでしょうか。
見た目の可愛らしさとは裏腹に、運動能力が抜群です。敵から身を隠すために5分以上も潜水したり、時速約50kmで地上を走ることもできるのだそう。見た目とのギャップがまた魅力的ですね。
鼻先だけを水から出して眠ることもあるそうで、カピバラファンならぜひ一度は見てみたい姿かもしれません。
美しいヒョウ柄の毛並みが印象的なオセロット。ヤマネコのような見た目はスタイリッシュで、一目見たら忘れられないような姿をしています。木登りや狩りが得意な点は普通のネコのようで可愛らしいですね。
ただし、泳ぎが得意な点は他のネコと違う一面です。水陸どちらにも適応できる能力を持っています。
オセロットはその美しい毛皮が狙われ、乱獲された過去があります。そのため個体数が激減し、絶滅が危惧されるほどになってしまいました。現在はワシントン条約で取引が厳しく制限されています。
「熱帯雨林といったらこの魚!」という人も多いほど有名な魚です。鋭い歯とコワモテの見た目が印象的ですね。種類によっては体長が約50cmになる個体もいるのだとか!水に落ちた生き物を群で襲ってエサにします。
とはいえ、じつは見た目よりも臆病な性格なのだそうです。単独で行動することはなく、必ず群で行動するほどだそう。その臆病さゆえか自分より大きな生き物を襲うこともありません。大きな物音や強い光に驚いて暴れ出すときもあるそうですよ。
ワシとしては世界最大級の大きさを持ち、フィリピンの国鳥でもあるフィリピンワシ。羽を広げると全長2mもあり、大きな翼と長い尾をゆらしながらはばたく堂々とした姿はまるで王者のよう。気高い風格が威圧的でもあります。
以前はミンダナオ島に多く生息していましたが、近年は熱帯雨林の開発が進んだことによって個体数が激減し、絶滅が危惧されています。保護プログラムが進められており、今後の繁殖に期待したいですね。
熱帯雨林は驚くほど多くの生命体が暮らす場所です。恵まれた自然のなかで生きる動物の姿はたくましく、ときには愛らしく、生命の力強さを感じさせてくれます。
今回ご紹介した動物のほかにも、熱帯雨林には多種多様な動物がたくさん住んでいます。ぜひチェックしてみてくださいね。