動物は種の保存のために本能に従い、子孫を反映させることに注力する。それ以外の行為は人間しかできない―。
動物に対しては、こういったある種の人間至上主義的な見方が昔からありますが、実際の動物界では「人の言葉を理解する」「人が出す指示に従う」「仲間を助ける」「道具を使う」など、人間と似たような行動をする動物が存在します。
一般的にはチンパンジーやイルカ、ゾウなどの動物を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、この広い地球上でいわゆる「賢い動物」がたった数種であるはずがありません。
地球上には知能を武器にして厳しい生物界を生き抜いている動物がたくさんいるのです。そのなかには「意外だった!」と思わず膝を打ちたくなるような動物も。
そこで今回は、賢い動物とその能力についてご紹介します。
映画やアニメの作品にはあたかも動物が豊かな知性と感情を持っているかのように描かれていることがあります。
動物同士で話し合い、喜怒哀楽の感情もあり、そして人の言葉や行動の意味を理解しながら人と共存する―。
このような動物の世界を想像するだけでワクワクするものですが、実際、一部の動物はこうした架空の動物の世界を彷彿とさせるような知性と感情を持ち合わせている……といったら驚くでしょうか。
たとえば、次に挙げる動物は非常に高い知能を持ち、ときには人に気持ちを伝えることもあるのです。
長い間、主に家畜として人と共存してきた豚。ときには使役、実験動物として人類に多大な恩恵をもたらしてきましたが、世間でのイメージはどちらかというと「豚に真珠」などマイナスなものが多い点は否めません。
しかし、豚は犬よりも頭が良く、人でいうと3歳程度の子どもの知能があるといわれています。
特に記憶力が大変優れているので、自分の名前を覚えて人が呼ぶと近寄ってきたり、「おすわり」や「お手」などの芸を覚えたりすることもできます。
感情表現も豊かで、鳴き声や尻尾の動きなどで寂しさや嬉しさを表現します。
また、仲間と鳴き声でコミュニケーションも!
たとえば、何かを求めているときや遊んでほしいときは「ブーブー」と低い声で長く鳴きます。
さらに、友好的な気分のときや体をなでられて気持ちの良いときは「ブッブッ」と低い声で短く鳴き、お腹が空いているときは「ピーピー」と高い声で鳴きます。
現在ではミニブタやマイクロブタが新しいペットとして人気を博しているので、豚の賢さについてすでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
賢いのでしつけができますし、トイレも覚えてくれるので、犬や猫以外のペットをお探しの場合にはオススメです。
なお、ペットとしてお迎えする際は「化製場等に関する法律」に基づき、都道府県知事の許可が必要になるのでこの点はお忘れなく。
見かけない日がないほどなじみ深い都市鳥・カラスは、人間の顔を覚えて見分ける能力を持っているといわれています。
攻撃してきた人間は髪型や服装を変えても判別でき、仲間を引き連れて仕返しをしにくることもあるようです。
ときにはカラスがターゲットにしていた人物と勘違いされて違う人が襲われてしまう悲しい事態も。「なぜかカラスが低空飛行で襲いかかってきた」「突然頭の上にやってきて足で蹴られた!」といったような体験談はよく聞く話です。
また、カラスは人間の7歳程度の知能があるという研究結果も報告されており、問題を解決するための学習能力においても優れています。
例えば、硬くて割れないクルミを食べるために高いところから実を落として衝撃を与えたり、道路に置いて車にひかせたりします。
以前、カラスが道に落ちていた硬貨を自販機に入れて飲み物を購入する様子が話題になりました。人の行動をじっくり観察して飲み物を得る方法を学んでいたというわけですね。
この高い学習能力は「話す」という側面からも発揮されており、人に飼われているカラスは人の言葉を真似して話すようになることもあるようです。
タコは無脊椎動物の中ではずば抜けて知能が高いことで知られています。
神経系が非常に発達しており、神経細胞の数は約5億個。犬とほぼ同じです。
この神経細胞の半分以上は8本の腕や胴に振り分けられているので、腕1本1本に小さな脳があるイメージです。こうした構造ゆえ、それぞれの腕で違う思考を持って動けるので、同時に異なる作業ができるのです。
つまり、同時に複数の仕事をこなすマルチタスクが得意ということ。生物界でこれほど優秀な動物はそう多くはありません。
また、タコは記憶力や観察力にも優れており、問題解決能力も高い生き物です。自分の身を守るため、保護色を使ったり地形に合わせて形を変化させたりします。
さらに、ココナッツの殻や二枚貝の殻をシェルターとして使うなど、道具を上手に利用することもわかっています。
これほど優秀だと知ってしまうと、今後はタコ料理を気軽に食べられなくなりそうですね……。
一般家庭で飼育できるペット動物の賢さについて語られるときは常に犬と猫が話題に上がりますが、それ以外にも非常に賢いペット動物がいます。
イタチ科のフェレットはそんな賢いペット動物の一つ。
パッと見、ハムスターのようなかわいらしい外見からは想像もつかないほど賢く、人によく懐きます。信頼を寄せる人には自ら駆け寄って甘えてくるなど、その振る舞いはまさに犬のよう。飼育状況や自分に対する行為を基に「この人は信用できる」と判断しているからできることなのです。
もちろん、しつけも可能。一箇所で排泄する習性があるのでトイレも安心です。
ただし……噛み癖のある子は小さい頃から飼い主さんがしっかりしつけする必要があります。賢いので辛抱強く教えればきっと覚えてくれるでしょう。
体長30cm〜40cm程度の小さいお猿さん・リスザルも非常に賢いことで知られ、飼い主さんの顔も覚えますし、訓練すれば芸も覚えてくれます。
喜怒哀楽がはっきりしているので人間の子どものような態度を取ることも。あまりに賢いので、一般的なペットとしての認識を超えてしまう動物でもあります。
しかし、リスザルの賢さには「自我・自分の意思」が伴うため、怒ったり機嫌が悪くなったりするといたずらするので注意が必要です。
また、寂しがり屋さんでもあるので、毎日遊んであげられる時間を確保できる方にオススメです。
これまでの流れからわかる通り、体の大きさと知能の高さが比例するとは限りませんし、同じように脳の大きさと知能の高さが比例するとも限りません。
確かに、一部でその傾向が見られる場合もありますが、それが定説だと言い切れないのが生物界の面白さだと言えるのではないでしょうか。
一般的に犬は賢い動物ですが、小型犬と大型犬を比べたときに大型犬の脳の方が大きいからといってこちらの方が絶対に賢いとは言えません。
世界最小犬種・チワワを初めてお迎えした飼い主さんが「これほど賢いと思わなかった」と驚くことは多々あるそうです。
したがって、「大きい方が賢そう」といった思い込みでペットをお迎えすると後々「見当違いだった」と困惑する結果にもなりかねませんので、お迎えする動物を選ぶ際は注意しましょう。
賢い動物とその能力についてご紹介しました。
動物たちは人間が考えている以上に優れた能力を持っています。自分の身を守るためにさまざまな能力を身につけ、知恵を働かせて生きているのです。
私たち人間には想像もつかないような素晴らしい能力をまだまだ多く秘めているかもしれませんね!