集団での立ち姿が大変かわいらしいミーアキャット。昨今のエキゾチックアニマル流行の追い風もあり、最近ではペットとしても注目を集めています。
動画サイトやSNSでは飼い主さんによく懐く姿が投稿されているため、「こんなにかわいい子が家にいたら」と思う方がいてもまったく不思議ではありません。
しかし、ミーアキャットはまだペットとしてはかなり珍しい動物。実際の飼育は想像以上に大変で、「手放したい」との相談も増えているのが現状です。
動物園や動物カフェ、インターネット上で見ているだけであれば「かわいい」で終わりますが、実際に飼うとなれば、想像もしていなかった気苦労が続くかもしれません。
したがって、ミーアキャットを家族の一員としてお迎えするのであれば、性格や習性、飼い方など、飼い主さんとしての責任をきちんと果たすための大前提となる知識を学び、そのうえで、ある程度の不利益も受け入れる覚悟が必要です。
そこで今回は、ミーアキャットの特徴や習性、飼育の際の注意点についてご紹介します。
ミーアキャットはアフリカ大陸が原産地のマングース科の動物です。名称には「キャット」とありますが、マングースの仲間であり、猫ではありません。
体長約30cm、体重は1kgの小柄な体型でありながらサバンナの過酷な環境を生きるミーアキャットは、生命力の強い動物と言えるでしょう。
しかし、ミーアキャットが今日まで生き延びているのは、個々の生命力だけが理由ではありません。彼らの形成する「群れ」にも強さの大きな秘訣があります。
というのも、ミーアキャットは基本的に群れで行動する社会的動物であり、複数の家族(世帯)と群れで生活することによって命を落とすリスクを分散させているのです。
その有名な例が、ミーアキャットが狩りの際に行う「見張り」です。
これは狩りの最中に他の動物に襲われたりしないよう仲間同士で巣の周りを監視しているのですが、このときの二本足での直立姿はとても印象的で、「ミーアキャットといえば立ち姿!」と思っている方も多いものです。
そんなミーアキャットですが、最近では一般家庭で飼えるのかが議論されています。結論から言えば、ミーアキャットはペットとして飼えますし、実際にペットショップでも販売されていますが、ミーアキャットの特徴・習性上、飼育には少々手間がかかります。
アライグマ、ときにはイタチのようにも見える愛嬌ある顔は、ただ「かわいい!」そのもの。
仲間同士で助け合って生活している点も、我々人間からすれば「集団生活ができる、穏やかな性格なのでは?」との印象を持ちやすいのですが、実際はその逆。
ミーアキャットは非常に警戒心が強いため、攻撃的な性質があるのです。
それもそのはず、動物界では決して有利とはいえない体型で生き延びてきたのですから、このくらいの気の強さがなければやっていけなかったのでしょう。
かわいらしい外見とのギャップに驚かれるかもしれませんね。
ミーアキャットのお迎えを検討している方は、こうした面をしっかり認識しておきたいものです。
したがって、ミーアキャットに懐いてもらうまでには時間がかかります。長い間家畜化されてきた犬や猫とはまったく異なるので、同列に語れないのです。
もちろん、丁寧に優しくお世話すれば徐々に飼い主さんを信頼し、懐いてくれるようになりますが、それまでは長い目でみて、信頼してもらえるまで辛抱強く待ちましょう。
ミーアキャットの習性を知ることは、飼育するコツをつかむ重要なポイントとなるため、基本的な性格と合わせて把握しておきたいものです。
サバンナで生きるミーアキャットには一体、どのような習性があるのでしょうか。
ミーアキャットの鳴き声は犬とそっくりで、鳴き声だけ聞くと子犬が鳴いているのかと勘違いするほど。ただし、犬の鳴き声のようには響かないので、鳴き声が大きくて近所迷惑にならないかと心配する必要はありません。
ごくたまに、敵や危険を感知した場合や緊急時には大きな声で鳴くことがありますが、普段はあまり鳴かないのでご安心を。
また、ミーアキャットは鳴き声で感情を表現する動物なので、楽しいとき、くつろいでいるとき、甘えているときなどは「くぅーくぅー」というかわいい鳴き声を出します。
ミーアキャットのオスには肛門の近くに臭腺があるため、独特のニオイがあります。
また、肉食動物なので便のニオイは強め。飼い主さんはトイレをこまめに掃除して常に清潔な状態を保ってあげましょう。
ミーアキャットの食事にはドッグフードやキャットフードを与えても良いですが、ニオイが気になる場合は便のニオイを抑える効果のあるフードがおすすめです。
ミーアキャットはマングース科の動物には珍しく、昼行性です。朝から活動し、夜には巣に戻るという非常に規則正しい生活を送っています。
そのため、もしミーアキャットをお迎えした場合は、日中にスキンシップを取った方が懐くのも早いかもしれません。
敵に居場所を知られないよう、ミーアキャットにはトイレを一箇所で済ませる習性があります。
だからといってトイレを覚えるのが得意なわけではありませんが、気に入った場所でトイレを済ませるようになればお部屋もそれほど汚れないでしょう。
トイレを一箇所で済ませてもらうポイントは、ミーアキャットの「好み」に任せてみることです。飼い主さんがトイレを定めたところでミーアキャットが気に入らなければ、そこで用を足してくれません。
また、オスの場合は発情期を迎えるとマーキングするようになるため、トイレが一箇所に定まらない可能性も。
去勢手術をすればマーキング防止対策になりますが、手術するかどうかは飼い主さんがペットショップの方や獣医師とよく相談したうえで判断してください。
前述の通り、ミーアキャットは飼育が容易とは言い難い動物です。しかし、しばらくの間丁寧にお世話すれば、信頼して懐いてくれる子が多いのも事実。
これからお迎えを検討している方は次の点に注意して、辛抱強くお世話してあげてください。
ミーアキャットはダンボールや飼い主さん自作の箱などで対応できる動物ではありませんし、寝床となる動物用のクッションベッドやハンモックなどが必要です。
ミーアキャットをお迎えすると決めた際は、こうした飼育グッズを一通り揃えておきましょう。
特にケージは脱走防止の要となる重要なグッズですので、必ず用意してください。
ミーアキャットはもともと群れで暮らす社会性の強い動物なので、飼い主さんにも徐々に懐いてきます。ただし、飼い始めの頃は環境や人に慣れるまで凶暴な一面を見せることもあるため、辛抱強く見守ってあげてください。また、ストレスを感じさせないよう、狭いゲージに閉じ込めて飼うのはやめましょう。
ミーアキャット1匹では寂しくてストレスを感じさせてしまうので、ひとりぼっちにさせないよう、できるだけ触れ合う時間を長く取ってください。
ミーアキャットは集団で生活する動物だということを忘れないようにしましょう。
ミーアキャットの特徴や習性、飼育の際の注意点についてご紹介しました。
ミーアキャットは懐くと、飼い主さんに甘えたりエサをねだったり、とてもかわいい姿を見せてくれます。また、ハーネスやリードを付けて、お散歩に出かけることも可能です。
しかし、たとえ人に慣れてきたとしても、急に噛みついたり引っかいたりしてくることもあります。お迎えする場合は、こうした点をしっかり理解しておきましょう。
その上で、ミーアキャットに愛情をたっぷり注ぎ、楽しい時間を過ごしてくださいね。