犬を飼う際は、飼い主が責任をもって健康を管理しなければなりません。
具体的な例としては、食事量の調整による体重管理や運動量の確保、飼育環境の整備などが挙げられますが、なかでも定期的な予防接種(ワクチン)は愛犬を感染症から守る大切な管理事項の一つです。
そこで今回は、犬の予防接種の必要性や種類、接種の時期や費用についてご紹介します。初めて犬を飼うという方もそうでない方も、この機会に予防接種についての知識を確認しておきましょう。
予防接種は、愛犬が狂犬病や犬ジステンパーといった死亡率の高い病気に感染しないように、または感染したとしても重症化させないようにするための予防注射です。予防接種で愛犬を感染症から守ることで、人や他の犬への感染も防げることになります。
つまり、予防接種を受けさせることは愛犬と飼い主、家族、ひいては居住地域の健康・安全につながるともいえるでしょう。
しかし、そうはいってもワクチン接種による副作用のリスクを心配する方は多いかもしれません。
もちろん、副作用がゼロとは言い切れませんが発生のリスクは低く、予防接種をするメリットとデメリットを考慮すれば、多くの場合はメリットの方がデメリットを上回ります。したがって、今までの健康状態に問題がなければ定期的なワクチンの接種をおすすめします。
予防接種は犬を飼う上での「健康管理の要」ともいえるものですが、予防接種の種類や対応している感染症についてはさほど認知されていません。
しかし、予防接種についてのこうした知識は愛犬の健康状態に応じた適切な医療処置を受けさせるためにも必要です。犬を長い間飼っているベテランの方も今一度、知識をおさらいしておきましょう。
日本では狂犬病予防法により、毎年狂犬病の予防接種が義務付けられています。違反した場合には20万円以下の罰金が科されるため、飼い主の方は毎年一度の予防接種を忘れないようにしてください。
コアワクチンとは、犬ジステンパーウイルス感染症・犬パルボウイルス感染症・犬アデノウイルス感染症に対する3つのワクチンのことをいいます。これらの感染症はどの犬も感染する可能性があるため、犬を飼う場合には定期的な接種を強く推奨されています。接種の頻度は抗体の有無により異なりますが、最近では一度接種すると抗体が3年ほど持続する場合が多いようです。
ノンコアワクチンとは、ボルデテラ、ボレリア、レプトスピラ症・犬パラインフルエンザ、犬コロナウイルスなどに対するワクチンのことをいいます。ノンコアワクチンは生育環境に応じて接種した方が良いとされているワクチンであるため、コアワクチンほど強く推奨されるものではありません。
また、抗体の持続期間がさほど長くないため適宜抗体検査を行い、抗体がなくなった際には再度接種が必要です。
狂犬病の予防接種については生後91日以降から毎年接種する必要があります。それ以外の予防接種の頻度は、免疫の付き方によって異なります。したがって、狂犬病以外の予防接種を検討する際は近くの動物病院を受診し、抗体検査を行った上で接種のタイミングをはかると良いでしょう。
そして予防接種の費用は、予防接種の種類や動物病院により異なりますが、概ね3,000円~10,000円程度のようです。予防接種は病気に対する治療ではないため、保険対象外となることは覚えておきましょう。
犬の予防接種の必要性や種類、接種の時期、費用についてご紹介しました。
予防接種は犬から犬、犬から人への感染を予防し、愛犬に長生きしてもらうための大切な処置です。愛犬の健康を管理する際は予防接種を念頭に置き、様々な病気から守れるよう事前に対策をしておきましょう。
そのためには普段からかかりつけの動物病院を決めておき、獣医師による健康チェックを定期的に受けることも重要です。