春と秋ごろの季節の変わり目に気になってくるのが犬や猫の「換毛期」です。
基本的には1年に2回ほど訪れ、ペットにとって体温を調節するための大切な時期ですが、室内で飼っている方にとっては床に落ちた抜け毛の掃除に悩まされることも。
そこで今回は、換毛期のメカニズムや簡単にできるお手入れ方法など、ペットの換毛期の基本についてご紹介します。
換毛とは文字通り「毛が抜け換わる」ことで、特によく毛が抜け落ちる時期を「換毛期」と呼びます。その一方で、ペットの毛は換毛期にだけ抜けると思っている方もいらっしゃるようですが、実はそんなことはありません。
犬や猫の毛には私たち人間と同じように毛周期があり、普段から毛は抜け生え換わっています。そして紫外線や衝撃など外部の刺激から体を守ってくれる毛は、動物の体温調節においてもとても重要なのです。
洋服などである程度自由に体温調節ができる人間と比べ、犬や猫は体温調節が上手くできません。そのため、暑い時期には通気性の良い硬めの夏毛に、寒い時期は保温性の高い柔らかい冬毛に換毛することで、体温を調節しているのです。
このように、動物にとって換毛は快適に生活していく上でとても大切なメカニズムとなっています。
換毛期は一般的には春と秋の年2回で、5~7月と9月~11月ごろが目安とされています。しかし、換毛期は動物の品種や住んでいる地域、個体差などによって異なることがあります。
例えば、太くて硬い毛(上毛)と細くて柔らかい毛(下毛)を持つ「ダブルコート」に分類されるゴールデンレトリバーや柴犬などの犬、ペルシャなどの猫は先ほどご紹介したように、年2回の換毛期があります。
一方、上毛もしくは下毛のみを持つ「シングルコート」に分類されるプードルやマルチーズなどの犬、シンガプーラやシャムなどの猫は特に決まった換毛期はなく、1年を通して少しずつ毛が生え換わっていきます。
また、快適な温度と湿度に調整された室内で暮らすペットの場合、環境の変化による季節の移ろいを感じる機会が減り、換毛期がずれてやってくることがあります。
換毛期を正常に迎えることは健康な皮膚と毛の再生に繋がることでもあるので、普段からお散歩の時間を長くとるなど、ペットに気温の変化を感じさせる工夫が必要になります。
ペットの換毛期は部屋に抜け毛が落ちやすくなるため、お掃除がいつもより手間がかかってしまいますが、そこで必要になるのがブラッシングです。
こまめにブラッシングをすると部屋に落ちる毛の量を減らせるだけでなく、ペットの皮膚を清潔に保つこともできます。特に猫の場合、グルーミングによる大量の毛の飲み込み予防にも繋がります。
なお、ブラッシングの際は室内ではなくベランダや庭でしてあげるという方もいらっしゃいますが、風で毛が飛ぶこともあるので近隣の方々の迷惑にならないように注意が必要です。
さらに、こまめなシャンプーも抜け毛除去に有効ですが、ペットの体質に合ったシャンプー剤を用い、適切な頻度で行いましょう。なかにはシャンプーや水が苦手な子もいますので、無理をさせずにペットに合わせた方法で行ってください。
そして、動物の換毛期はただ毛が多く抜けているだけならば心配ありませんが、そこにいつもと違う様子が見られた際は要注意です。例えば毛のツヤがなくなった、皮膚の一部が見えている、痒みや赤みがある、フケが出てきたなどの症状を伴う場合は、換毛期ではなく脱毛症などの病気を疑いましょう。
抜け毛が生理的なものか、病気によるものかを見極めるのが肝心ですので、少しでもおかしいなと感じた場合は早めに獣医師に相談してみることをオススメします。
また、ペットの換毛期には念のためこうした体調の変化を診てもらうためにも定期的にトリミングサロンなどでケアしてもらうのもよいでしょう。
ペットの抜け毛が気になる「換毛期」の基本についてご紹介しました。犬や猫にとって換毛は健康を保つために重要な生理現象ですので、飼い主さんは日頃からブラッシングで抜け毛を除去してあげたり、健康チェックの項目に入れたりするなど、ペットの清潔と健康を守ることを心がけましょう。